暁 〜小説投稿サイト〜
なりたくないけどチートな勇者
36*外野が邪魔
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、ドパンッ!という音とともに黒い球と魔法陣が崩壊して、さらに続けて影人形が全部崩壊した。

「……は?」

球を投げる途中のモーションで止まった大天使仕様セブルさんは、微妙な姿勢に間抜けな顔と、見事にイケメンを台なしにする格好になっている。
きっと何があったのかわかっていないのだろう。

平たくいうとだ、なんやかんやで放っておいた《地縛神 Aslla piscu》をリリースして魔法カードを二枚破壊した感じである。

《地縛神 Aslla piscu》の効果もあいまって、相手のフィールドはこれでボロボロにです。
難しいけど、決めれれば勝ちは目前の夢のコンボです。

と、いう訳で

「形勢逆転、ですね。大人しく降参してください」

「つっ〜!!」

自分の発言に対して苦虫を青汁とともに一気飲みしたような顔をして悔しがるセブルさんを見て、軽く悦に入る自分が嫌だ。

だがまぁ、あんな大魔法を連発したんだ。
普通のRPGならそろそろMPが0になるハズである。
顔色も最初に比べてかなり悪く、息も荒いのがその証拠だ。

と、相場を知らない自分が勝手に判断して勝ちを確信していたのだが……
ここで一つ考えてみよう

確かに彼は魔力が尽きかけてるのようでふらふらしているが、まだ意識もあるしなにより立っている。
では、MPを使い尽くしたモンスターがする行動はなんだろうか

それはもちろん

「誰が降参などするかぁ!!」

物理攻撃である。

「おわっ!?」

本日三回目の鍔ぜり合い。
いい加減あきた。

「貴様はお嬢様を弄び泣かせた!そのような罪人は!いかに我が魔力が尽きようとも!いかなる手段を用いてでもその命をこの手で刈り取り償わせるのが我の役目!降伏など!誰がするかぁ!!」

「ちょっ!唾飛ばすな!!」

鍔ぜり合いとは言っても、セブルさんはさっきに比べて格段に弱くなっている。
傍目からは猛ってるように見えるけど、剣を押す腕に力がない。

かく言う自分も疲れてきてはいるが、そこまで盛大には疲れていないのでまぁ、余裕なのだ。

「本当に話し聞いて下さいよ」

出来れば平和的解決をしたい自分は、無駄だとはわかっていてもつい眼前10センチの所にいるセブルさんに聞いてしまった。
すると帰ってきた答えは

「煩い!お嬢様は我が手塩にかけて育ててきたのだ!そしてそのお嬢様が貴様に恋い焦がれつつも内気な性格から自ら前に進めずにいるのを後押しした結果がお嬢様を不幸たらしめる事になったのだ!これは貴様の断罪と共に我の贖罪だ!貴様の話など聞く気はない!」

「いやだからって……」

「だからもなにもない!貴様はお嬢様の敵だ!全てはお嬢様のために!お嬢様に仇なす者は全て我が排除する
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