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SAOもう一人の聖騎士
追想〜武者、二人〜
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道をそのまま北上して地上に出る。意外と実力が高かったおかげで俺も楽が出来た。

「驚いた、相当強いんだな」

「そう言われると嬉しいな」

彼女はボトルから水を一口飲み、その後猫のように大きく伸びをした。俺は不覚にもその動作に目を奪われてしまった。たったそれだけの動作なのだが、体の動きが滑らかで無駄が無い。

(ああ、この娘はスムーズ人か)

俺があの地獄(デスゲーム)に閉じ込められた二年間、多くのVRプレイヤーを観察していて気が付いた事だが、この世にはいるのだ。生まれつき何故かやたらとVR慣れをしている人間が。

運動神経が良いのとも少し違う、なんと言うか、人間の体をロボットに例えると、普通の人間が一つの大型のモーターで関節を動かすとすれば、彼ら彼女らは複数の小型のモーターで滑らかに関節を動かす。体の各部に高精度のベアリングが入っているような感じだ。

とにかく、この世界での戦闘で流れる様な柔軟な戦いをする人は、武器を納めても立ち降る舞いに無駄の無い人が多い。有名な所だと火妖精将軍ユージーンや、風妖精領主サクヤなどだ。俺の知り合いだと、キリトやクラディール辺り、あとギリギリでシュピーゲルがそうだろう。俺は密かにそういう人をスムーズ人と呼んでいる。

残念ながら俺はそうじゃない。器用さにも運動神経にもそれなりに自信はあるが、それでも俺は違う。運動神経がいいのとも違うとはそう言うことだ。それでも長い長い時間生きるために戦い続け、それなりの体捌き、刀捌きを身に付け、ユニークスキルを手に入れた。

「あの動きを見た時ハッ!としたの。それで指名をすっとばしてあなたの所に行ったのよ」

なるほど、この子には迷いが無い。気持ちに躊躇や迷いが無いからカラダも無駄なく真っ直ぐ動く。これもスムーズ人の特徴かもしれない。

・・・・・・だからこそ、危険だ。あのクソッタレな地獄で、俺の目の前で死んだあの人の様に。

「そう言えば名前を聞いてなかった」

「リューナっていうの。リアルの名前は龍宮優那(たつみや ゆうな)」

「・・・・・・おい、いくら周りにプレイヤーがいないからってこんな所で・・・・・・」

少し危ない感じだったので先に宿屋を借りる事にした。

幼く見えたが年は二十四歳。今年二十五になるそうなので、俺より一つ歳上だ。

「VRMMOをするのは良いとして、何でALOなんだ?こんなハードなものよりもっと楽しいのがいくらでもあるだろうに」

「あたし、『SAO事件』の『黒の剣士』と『白い聖騎士』に憧れて始めたの。SAO事件の小説を読んで格好良かったから」

飲んでいたコーヒーでむせてしまった。

「ゲホッゲホッ・・・・・・・ごめん、二人共俺の知り合いだ」

「嘘!?じゃあ貴方も本に出てるの
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