第三十六話 ヒナの純粋さが怖えっ!
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翌日学園に行くと、掲示板にも『ヴェルーナ魔武大会』のチラシが貼られてあった。
本格的に発表されるようだ。
もちろん賞金の件は、学生達にも驚くような告知だった。
だがそれ以上に、学生達の関心は闘悟に向けられていた。
その理由は、無論昨日の決闘のことだった。
なんせ無名の転入生が、三賢人を父に持つエリート貴族のリューイ・フォン・シュールベルを破ったのだ。
しかも、その決闘を目にした学生達は、すぐさま周囲の者達に話したようで、もう学園内で闘悟のことを知らない学生はほとんどいなかった。
門を潜(くぐ)った時から、様々な視線を向けられていた。
畏怖(いふ)、興味、好意、そんな視線から抜け出るように教室に向かっている時に、例の掲示板に目が止まったのだ。
教室に入ると、いきなり強烈な歓迎を受けた。
ルームメイト達も闘悟のことに興味津々だった。
まさか闘悟が勝つとは誰も思っていなかった。
それなのに、あっさりと勝ちを得た闘悟に対して、ただならぬものを感じた。
もちろんその中には闘悟の異常さに恐怖を垣間見せている者もいるが、平民が貴族を破ったことが嬉しいのか、特に平民のルームメイトは闘悟を英雄のように感じているようだ。
尊敬の眼差しが闘悟に向けられているが、闘悟は苦笑しつつ流していた。
「よ! 有名人!」
嬉しそうに声を掛けてきたのはネコミミ男子ことカイバだった。
「まあ、予想してたけどな」
闘悟は呆れたように肩を落とす。
有名人にはどうしてもなってしまうだろう。
覚悟はしていたとはいえ、何だかんだでめんどくさそうだ。
「全く、周りがうるさくて敵わん」
怒気を込めた言い方をしたのはミラニだ。
それを諌(いさ)めるように傍にいたメイムが彼女の肩に触れる。
「まあまあ、仕方無いよ〜! 何たってトーゴくんのやったことって、前代未聞(ぜんだいみもん)なんだからさ!」
「そう……平民が……貴族に……無傷で……勝利する……すごいん……だよ」
我らが天使のヒナが、キラキラ光る銀髪を揺らしながら闘悟のもとに来る。
そして、何故椅子に座っている闘悟の膝の上にちょこんと腰を下ろした。
それを見た全ての者はギョッとする。
もちろんいきなりの行動に一番驚いているのは闘悟自身だ。
「ヒ、ヒナッ!?」
「……なあに?」
無邪気な表情で首を傾げるヒナを見た闘悟は何も言えなくなる。
それだけヒナの上目使いは破壊力が頂点を軽く突破している。
誰もが言葉を失っている中、ようやく声を絞り出したのはクィルだった。
「ト、トーゴ様! ふ、ふ、ふけちゅですぅっ!!」
え? 怒られる
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