第三十六話 ヒナの純粋さが怖えっ!
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のオレ!?
ていうか噛んでるし。
真っ赤になって慌ててるから噛むんだよクィル。
「オレなの?」
「だ、だ、だって!」
闘悟とクィルのやりとりを意も返さずヒナは懐から取り出したパンを食べ始めた。
もきゅもきゅ。
うわぁ……何なのこの可愛い生物。
ずっと愛ででいたい。
ほんわか気分になった闘悟を見てクィルは頬を膨らませる。
「ト、トーゴ様っ!」
彼女の言葉にハッとなり我に返る。
これ以上クィルを怒らせるわけにはいかない!
また説教が長くなる!
「あ、そ、そのさヒナ?」
「……なあに?」
くっ……耐えろオレ!
この衝撃に負けるんじゃない!
「その、何で膝の上に?」
「座りたい……から……だよ?」
そうですよねぇ〜。
分かってたけど、こういう答えが返ってきたら、もう反論できないんだよなぁ。
「うわお! ヒナってば大胆だね!」
楽しそうに笑うメイムを見て、少しイラッとした。
絶対この状況を面白がってやがる。
オレは説教が長くなるかどうかの瀬戸際だというのに!
「ガッデム! 神は何て試練を我らに与えるのだ!」
とりあえず、どうしてカイバが、ガッデムという言葉を知っているのかは置いておいて、カイバ含め男の視線が超痛い。
「ヒ、ヒナリリスさんも、そ、そんな簡単に殿方のひ、ひ、膝の上に乗るなんていけませんです!」
「ヒナで……いい……よ?」
「ふぇ? あ、そう……なのですか? あ、ありがとうございますです」
照れながらクィルは礼を言う。
こんなふうにあだ名で呼んでもいいと言われたのが初めてなのかもしれない。
友達なら普通なのだが、闘悟はそれを見て、本当にクィルは友達がいなかったのだと理解した。
しかし、ヒナとの距離が縮まったみたいで良かった。
「えへへ……って違うです! ヒナさん、駄目なのですよ!」
「どうして……なの?」
「どうしてって……そ、それは……だって……羨ま……じゃなくてですね……あの……と、とにかくこ、恋仲ではありませんのに駄目なのです!」
両手をぶんぶん振りながら必死の説得を試みている。
闘悟は口を挟むタイミングが分からず黙っていた。
ヒナはクィルの言葉を受けて、少し思案顔をする。
そして、また闘悟に視線を向けてとんでもない爆弾を落とす。
「だったら……恋仲に……なる?」
「なぁっ!?」
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