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トーゴの異世界無双
第三十五話 そんなもんいらねえ
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 まるで舞台演技をしているかのように大げさに驚く。


「そうだ愛しき妻よ! あのイベントをやるのだ!」
「うっは〜! なんかよくわからないけどやったぞ〜!」


 ハロがノリだけで舞台に上がる。


「それはそれは、頼もしいことですわねお父様。ええ、わたくしも楽しみですわ!」


 え? そこノッちゃうのリアさん!? 


「トーゴ! よく聞け!」


 あ〜はいはい、もう何でもいいからさっさと言っちゃって下さい。


「お前にはもちろん参加してもらう! 炎の決戦! 『ヴェルーナ魔武(まぶ)大会』にな!!!」


 あ〜ここでフラグ回収か〜。
 闘悟はまるで他人事のように心の中で呟く。
 クィルはクィルで、大会の開催にとても驚愕している様子だ。


「クィル、その大会ってカイバが言ってたやつ?」
「あ、はいです。去年、あのリューイ様がフービ様に敗れた大会です」


 何でも、この時期に開かれるのだそうだ。
 大会は自由参加だが、もちろん予選があり、本選に出場できるのは十人だけだ。
 本選はタイマン制のトーナメントだが、予選も盛り上がる。
 毎回予選の内容は変更される。
 前年は参加人数が少なかったせいか、予選も同じようにタイマン制で勝負を決めた。


「今年は参加人数はかなり多いぞ。何たって優勝者には白金貨十枚に……」


 おお、十枚ってことは、日本円で一千万か……大きいな。
 どうやら前回は賞金が出なかったみたいだ。
 だから参加人数が少なかった。
 これを嘆いたギルバニアが賞金を出すことにした。
 だが、ギルバニアはまだ何か副賞的なものを用意してるみたいだ。


「我らが王妃のデコチューが与えられるのだ!!!」


 …………はい?
 ……でこちゅ〜? 


「は〜美しいって罪なのよねぇ」


 え〜っと……。
 顔を赤らめてモジモジするのは止めて頂きたい。


「今もぞくぞくと参加の申し込みが殺到してる。さすがは我が妻の魅力。デコチュー狙いでここまで集まるとは予想してはいなかったぞ」
「いやんいやん」
「ふはははは! 可愛い奴め!」


 いやいや、皆さんは多分名誉と白金目当てだと思うけどな。
 むしろデコチューは拒否されるんじゃね?
 とか言ったらぶっ飛ばされそうなのでやめとこ。


「いいかトーゴ! 一か月後だぞ! お前もデコチュー目指して頑張れ! ふははは!」


 目指さねえけどな。
 まあでも、参加する以上は勝つけど。
 ん〜でもデコチューはいらんなぁ。
 どうせだったらリアさんの……。
 闘悟がリアの方を向いていると、クィルが背中の肉を抓(つね)ってきた。



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