反転した世界にて5
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細い指先も、この時だけは感謝しないでもない。赤沢拓郎の、その枝葉のような手指を容易に連想出来て、より一層、美しすぎる彼の愛撫を妄想できるから。
翔子の想像の中で。
――自室のベッドの上で。拓郎はベッドの上に四つん這いになって、翔子がM字に広げている股下を眺めている。無表情のまま、つまらなさそうに。
けれど恥部をいじくるその指は、限りなく情熱的だった。既にビンビンに突起しているクリトリスを、人差し指と中指で挟みながら、親指で擦り上げる。
「ひぁ……それ、いいっ……もっと」
『気持ちいいの、白上さん?』と。いつも夢想して、遠くに聞こえていただけだった拓郎の声が、今日に限っては至極鮮明に、耳元で囁かれるかのように聴こえた。それもそのはずで、つい数時間前に、翔子は拓郎の奏でる可憐な声色を、特等席で聞いていたのだ。
お互いの匂いが伝わり合ってしまうような、肩と肩が三十センチと離れていない距離。我ながら、勇気を出してよかったとしみじみ思う。
興奮のギアが一段階上がった。
「ふ、ぁは……そこ、すごくきもちいよ、拓ろぉ……」
『ホント、女の人ってエロいよね。どうしようもないよ』
能面のように張り付いた無表情のまま、口元だけを僅かに歪ませて。妄想の中で拓郎は証拠を嘲笑う。
現実の拓郎は決してそのような言葉を言わないだろうし、そんな目で自分を見てくれることもないだろう。ましてや、自分の濡れに濡れた欲情ま○こを弄ってくれるようなことは、ない。
「ふ……くっ、……えぐ……」
――頭のどこか片隅では、ちゃんと理解しているのだ。赤沢さんが、自分のことを恋愛対象としてみてくれるなんて夢物語は、あり得ないのだと。
"もやし女"と"眠り彦"。翔子と拓郎とでは、何もかもが違う。立っているステージが、住んでいる世界が違う。
片や、モテモテ美男子一生勝ち組予備軍。そんな存在に分不相応に恋慕を募らせている、非モテブサ面一生処女候補。天秤にかけるのも馬鹿らしくなるくらいに、釣り合いの取れない二人だ。
「えっぐ……うぅ、ふ、ふふ……うぇへへ……」
翔子は無意識に涙を流しながら。
涙に歪んだ酷い表情で、そんな悲しい現実を笑い飛ばすようにしてオナニーを続ける。
ネガティブなことばかり考えていたって、仕方がない。どうせそれが現実なのだ。だったら想像の中でくらい、存分に楽しんだっていいじゃないか。
――"今を楽しむ"、とは言わずとも。曲がりなりにも、拓郎は翔子と会話をしてくれて、しかもお弁当を作ってくれる約束までしてくれた。自分と対等の立場で対話してくれたことが、翔子にとってはどうしようもなく嬉しくて、そして大切なことだった。
「拓郎……、もう、限界……挿れてぇ……」
迸る妄想の中、白く濁った
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