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自由の灯り
第十六話
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一瞬何が起きたのかわからなかったが、ヴェントの唇はキャナルの唇に塞がれ、キャナルはヴェントの首に腕を回し、ヴェントを離さないようにしていた。
ヴェントは目の前にいるキャナルが自分にキスをしたと理解すると、顔が真っ赤になる。
しばらくすると、キャナルはヴェントから離れて悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「あたしの初めてはヴェントに上げたですぅ~♪責任取ってほしいですぅ~♪」
「お、おま!」

ヴェントはキャナルを睨むがキャナルは少し赤くなった顔で笑いながらいつものハイテンションに戻り、ヴェントに勢いよく抱きつく。
抱きつかれたヴェントはそのままキャナルに押し倒され、自分から離れようとしないキャナルを見て溜め息をつく。

「・・・俺はお前とはまだ付き合わないぞ」
「え~、付き合おうですぅ~」
「そもそも言ってることわかってるのか?」
「もちのろんですぅ~♪あたしは本当にヴェントに惚れたんですぅ~♪誰よりもヴェントが好きですぅ~♪」
「だったら、俺がいつかお前に告白する。だから今は我慢しろ、そもそも出会ってからまだ少ししか経ってないんだ、もっと互いを理解してからでもいいだろ」

キャナルは不満そうに頬を膨らませながらヴェントを見ると、ヴェントは再び溜め息をつき今度は自分からキャナルの唇を塞ぎ、離さないようにキスをする。
いきなりのことでキャナルは瞬きを繰り返しながらヴェントを見る。

「今はこれで我慢してくれ、それに俺の気持ちの整理がついたら、俺からお前に告白したいんだ」
「ヴェント~、わかったですぅ~、それまで待つですぅ~」

キャナルはヴェントから離れると、体育座りの格好で夜空を眺める。
ヴェントは横になりながら星を数えていると、睡魔が襲ってきてそのまま眠りに落ちる。
次の日の朝、ヴェントは太陽の明かりで目を覚まし、瞼を開く。

「!っな!?」

一番初めに視界に入ったのが、キャナルの寝顔だった。
そんなキャナルは安心しきった顔で、すやすや寝息をたてていた。
しばらくして落ち着きを取り戻したヴェントはキャナルの寝顔を見ていると、昨日のキャナルとのキスを思い出し顔が赤くなる。

「むにゃむにゃ、ヴェント~♪大好きですぅ~♪」
「はぁ、俺もだよ、キャナル」

ヴェントは寝ているキャナルにそう言いながら頭を撫でる。

「ふにゃ?」
「悪い、起こしたか?」
「ヴェント~、昨日はあたしを襲ったりしたですぅ~?」
「するか!」

ヴェントは否定すると、キャナルを連れてバンエルティア号に向かう。
船に着くとアンジュやメンバーの何人かが心配そうに訪ねてきたが、キャナルが昨日のことを全てばらしたせいで、ヴェントは女性陣の質問攻めにあうのだった。


続く

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