第十六話
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にいる、怖くない」
「う・・ん、それから数日後、三人組の人たちが来て黒魔術の本を渡すよう言ってきた、お父さんは断ったけど、そうしたらその人たちはお父さんを殺して・・」
キャナルは怯えるように震えながら、ヴェントをぎゅっと抱き締める、ヴェントもそれに答えるようにキャナルを強く抱き締める。
「そ・・それで、今度はあたしとお母さんを襲って、お母・・さんはあたしを逃がして・・うぅ!ひっぐ!」
キャナルの声は完全に上擦っていて、涙をポロポロこぼしながらヴェントの胸に顔を埋める。
ヴェントはこれ以上言わなくていいと優しく答え、キャナルの頭を右手で撫でる。
ヴェントの優しさに我慢ができなくなったキャナルは大声を上げて泣き出した、ヴェントはキャナルが泣き止むまで頭を撫でることにし、夜のルバーブ連山に少女の泣き声が響き渡った。
しばらくして泣き止んだキャナルは夜空を見上げながらヴェントに話す。
「それからあたしは過去を思い出さないように村を飛び出して、性格を変えたんだ、・・・昔の性格だといろいろ思い出しちゃうから、これが本当の喋り方」
「そうか、・・・・俺の両親も俺が小さい時に亡くなってるんだ」
「っえ?」
キャナルは驚いた表情でヴェントを見ると、ヴェントも星を見ながら喋りだした。
「母親は俺を生んですぐに、父親は9歳の時に戦争で亡くなった、それからは親友と旅をしてたけど、この間亡くなった、俺はもう生きる意味を無くして一度死ぬことを考えたことだってある」
「ごめんなさい・・あたしばかりこんなこといって泣いたりして」
ヴェントはキャナルの頭を撫でる。
「気にするな、それと今でも辛くないって言えば嘘になる、けど俺はディアに助けられた。一人で殻に閉じ籠ってた俺にあいつが手を差し伸べてくれた、それからは他の奴等も俺に接してくれる。だから俺は明日に向かって今を生きていける、キャナルは俺より辛い過去かもしれない、俺よりキツイかもしれない、けどお前はもう一人じゃない、皆がいるし俺がいる辛いならいつでも言え」
ヴェントの優しい微笑みにキャナルは再び涙を流すと、ヴェントはまたキャナルを強く抱き締める。
それから背中をポンポン叩く。
「親の悲しみは埋めることをできないかもしれない、でも俺はずっとお前の側にいてやる、だからもう悲しむな」
そこまで言うと、今までよりも強くキャナルを抱き締める力を強める。
キャナルも泣きながらヴェントを離さないように、強く抱き締める。
「ヴェント・・・ありがとう」
「気にするな、それに俺はいつも俺を振り回す性格のお前の方が好きだし、暗いのはお前に似合わないと思っただけだ」
そういうと、キャナルから離れて顔を背けようとするが、それはキャナルに阻止される。
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