13 「★★★『渓流のジャギィ討伐作戦』」
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の武具である。
2人はパッと顔を明るくし、元気よく返事をした。
「じゃああたし、抹茶あずき白玉特盛果物付き黒蜜掛けキャラメルアイス添え!」
「わ、わたしはツガル村特産のバニラアイス入り焼林檎焦がしキャラメルソース掛け、トッピングはドライベリーズとチョコチップナッツクッキー、シナモン多めでっ」
「Oh...」
本当に遠慮なくデザート欄の高額トップ2(どちらがNo.1は推して知るべし)を頼んできた2人に苦い笑みを浮かべながらも了承した。年上の男として、今更「それは無理」だなど言うのは恥だ。大丈夫。いざとなれば倉庫にある過去狩ったもろもろの竜の素材を売れば、その場しのぎにはなる。
用意したものの結局使わずに済んだ投げナイフと愛刀を撫ぜ、傾き始めた日を見上げた。だんだん日が短くなってきているが、村に着く頃はまだ日はあるだろう。何もしなかったが後ろからハラハラ見ていたので、精神的に疲れていた。既に夢の国の住人となっている2人に用意されていた毛布を上からそっとかけると、自分は藁にごそごそうまって目を閉じた。秋の穏やかな日差しが心地よく、じきにナギも居眠りを始める。御者アイルーの鼻歌が、子守唄となった。
良い具合の揺れが止まったのに意識が浮上し、再びナギが目を開けると、ちょうど村に到着するところだった。同じく毛布の下で存分に伸びをしている2人の少女も起きだしたようだ。門前にはもう1台の大型竜車があり、なんだか村も騒がしい。いつも湯治客で賑わっているというのもあるが、ここ最近客が減っているとも聞くし、多分違うだろう。エリザもリーゼも特に思い当たることはないらしく、首をひねっていた。
「おう、帰ってきたか! お帰り、リーゼちゃん、エリザ! …と、カームゲイル」
ナギのことを苗字で呼ぶことにしたらしい“自称・ユクモの鬼門番”ことロウェル・クロッツェン。彼は喜んでいるような悲しんでいるような微妙な表情を器用につくり、2人――ことエリザに話しかけた。どうやらエリザの姉オディル・ヴェローナとそのパートナー、カエンヌ・ベルフォンツィが村に帰ってきたらしい。ただ、カエンヌは平気な様子だがオディルが負傷して、現在眠っているとのことだ。エリザの表情がサッと曇った。
「命に別状はないらしいから、数週間寝れば治るらしい。オイラもほっとしたよ」
「そうなの。よかった。…ごめんリーゼ、ナギ。奢りの件今日はちょっとパスさせてもらうわ。姉さんのとこに行ってくる! じゃあね。リーゼ、後で報酬よこしなさいよー!」
「あ、うん! わたしもすぐ行くから!」
「じゃあ、今日のお祝いはまた今度にしようか。集会浴場までは俺も行こう。一応3人で狩ったことになってるから」
そう言って村の真ん中を堂々と通っていく。前に立つのはリーゼロッテで、彼女は村人から口々
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