13 「★★★『渓流のジャギィ討伐作戦』」
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ーゼは足腰の筋肉を鍛えた。
「やああ!!」
鬼人化。自身の身の“気”を練り上げて全身の隅々にまで行き渡らせることで、一時的に自身の限界を超えた動きを可能とする技だ。双剣の特徴の1つでもある。身の内から溢れ出る気力はその刃に赤いオーラを纏わせ、【乱舞】と呼ばれる剣戟の嵐をもたらす。
同じく太刀にも練気と呼ばれる技法があり、それと“鬼人化”はやや似通ったものであるが、やはり違う。双剣に変えたばかりのリーゼロッテはもちろん鬼人化の手ほどきを受けていないため、今できたのは力ずくで、偶然である。ゆえに通常よりも更に早くスタミナも消費し、早くも肉体は悲鳴を上げていた。
やり方もわからず、ただ思うがまま無茶苦茶に剣を振り回し、ジャギィノスを死へとおいやる。その気迫のまま残りのジャギィの肉も裂き、気の影響のみならずドスジャギィの鮮やかな防具を赤く染めた。
「はっ…はっ…はっ…はっ…」
「リーゼ、あんた」
「はぁ…はぁ…、……はぁ。速く、倒さなきゃと、思って」
「まったく……体力持つの?」
「ごめん……無理」
「まぁったくもーぅ」
「ごめん…」
リーゼロッテの体力が一気になくなったことで、順調に進んでいた狩りは一旦中止。ベースキャンプに戻ることとなった。
固いベッドにどっかり座ったナギが、同じく目の前に座ってしょぼくれているリーゼロッテを見る。エリザに視線をやると、「好きにすれば」と肩をすくめられた。
何も言わなくてもすでに十分反省しているようだから本心はそっとしておいてやりたいのだが、それは師としては駄目なのだろうと腹をくくった。人を上から叱るのに慣れていないから、なんと言えばいいのか正直まとまっていない。
「……リーゼ、今回の反省点は?」
「はい…。エリザが怪我する前に速くジャギィノスを倒さなきゃって思って…習ってもいない鬼人化をしたこと、です」
「ふむ。じゃあなぜそれをしてはいけない?」
なぜと質問で返されるとは思っていなかったのだろう。暫く口ごもって考えていたようだが、やがてゆっくり話しだした。
「…太刀の練気斬りと、根本は同じでもやり方から何から全部違うのに、無理やりやったことで体力を消費して、狩りの続きができなくなること、です」
「そうだね」
「それから、変な剣の振り方をしたせいで、腕に負担をかけました」
「それもある」
「あとは……えっと……」
「…ふむ。双剣の刃を見てみて。刃がボロボロだろう? 太刀よりも刃が短い分、使う気力も制限して行かなきゃいけないのが双剣だ。まあ、過剰な気力を受けた分、一時的な切れ味は増しただろうけどね」
「本当だ…」
オレンジと紫のグラデーションが鮮やかなジャギットショテルの刃は完全な鈍と化しており、大陸規定の切れ味判定でい
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