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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
13 「★★★『渓流のジャギィ討伐作戦』」
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外、ナギはなんの行動も示さないことに決めていた。

「まずはエリア4から5に移動だよね」
「ええ。その次はエリア9あたりが狙い目かしら」
「うん。行こっ」

 双剣では初めての実戦ということで、先程から浮かれているのが丸分かりなリーゼロッテだが、これでもハンターの端くれ。エリア1に移動した時にはその目は獲物を狩る狩人のものとなっていた。ナギは静かに微笑む。2人とも後ろに彼がいることで変に気負うこともなく、またダラダラと構えることもなく、いい具合にリラックスしていた。
 エリア4。廃村の跡地が残るそこは、命からがらリオレイアから逃げ延びてきた場所でもあり、2人がデュラクを初めて日のもとで見た場所でもある。今は見える範囲で3頭のジャギィがうろうろと歩き回っていた。1頭がこちらに気がつき、警戒の鳴き声を上げながらこちらに走り寄ってくる。

「早速みっけ、っと」
「打ち合わせ通りあたしが牽制、あとは援護射撃だからね。射線上に入らないでよ!」
「分かってる。じゃ、行きます!」

 ダッと駆け出したリーゼロッテの横を、弧を描いた矢が風を切る音とともに追い抜いた。始めの1頭の額に突き刺さったったそれはジャギィをノックバックさせるものの、だがモンスターの強靭な生命を奪うには至らない。ジャギィはよろめき悲鳴を上げながらも、最後の意地とばかりにリーゼに噛み付こうと顎を大きく開けた。

「ハッ!」

 気合のこもった声とともにリーゼロッテは背の対の刃を抜き、牙を向く小型竜を恐れずに喉めがけて切り払う。鋭い犬歯が敵に届く前に、頚動脈を深く傷つけられたジャギィは断末魔とともに後方に飛び、二度と起き上がることはない。続いて飛びかかってきたジャギィを流れるように斬り上げでいなし、追撃。横からリーゼを狙ってきたもう1頭は目の前に突き刺さったエリザの矢に怯み、たたらを踏んだ。
 仰け反ったジャギィを続けざまに二段斬り、斬り返し、腰をしっかり落として車輪斬りで止めをさす。と、背中に衝撃が来た。エリザの矢が既に背中に数本突き刺さっている最後の1頭の回転尻尾攻撃だ。

「ったぁ…このッ!」

 ドスジャギィの防具を纏っているとはいえ、小型ながら仮にも鳥竜種であるジャギィの攻撃はリーゼロッテの華奢な背中に鈍く響いた。前に転びそうになるのを足をグッと踏ん張ってこらえ、振り向きざまに二連斬り。後方に跳ねたジャギィは地面に伏すも、再びむくりと起き上がると怒りの声を発した。エリザの矢が空を裂く。惜しくも狙いをそれた矢はジャギィの頭上すれすれを通った。後ろから舌打ちが聞こえる。
 エリザの射撃とほぼ同時に地を蹴ったリーゼの攻撃も、タイミングよくバックステップしたジャギィには当たらず、思わず「ああもう!」と声が漏れた。

「エリザ!」
「わかって…る!」


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