13 「★★★『渓流のジャギィ討伐作戦』」
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売値は同じ1ゼニーだから。二束三文にもなりゃしないわ。ボンバッタですら6ゼニーで売れるのに……クス」
「うわあああん!」
「ウフフフフ」
収拾がつかなくなってきた場を収めたのは、意外なことにナギであった。溜め息をついて、マイクテストをするように「アー」と無意味な声を出す。自然と注意がそちらにむいた。
「どうも、ナギ・カームゲイルです。2人の一応…師匠、のような立場になってます。さっきハンターになったばかりの新人だけど」
「……え? そうなの?」
「だからさっきからわたしがそう言おうと…」
「じゃあ、そういうことで。失礼します」
一方的に会話を打ち切ったナギは、リーゼ達も置いてすたすたと門へと向かう。その後ろを慌てたように2人が追いかけていった。
ロウェルはというと、嵐のように立ち去った少女達を呆然と見送り、ふと我に返った時にあることに気づいた。
「そういえばオイラ、自己紹介…してねえや……」
門の向こう、消えた竜車を見送る彼の背に僅かな哀愁が漂っていたのを知るのは、無言で一部始終を見ていたヴェローナ鍛冶店古株鍛冶アイルー、ゲンさん(“ゲンさん”までが名前)のみだ。
***
「今頃ハーヴェスト達も頑張ってるのかなぁ」
「チェルシーに怪我させたら、ただじゃ置かないわよあのメラルー」
「ははは…訓練に必要なかすり傷や筋肉痛は、大目に見てやってくれよ」
ベースキャンプに到着。2人は狩りの前の準備体操(これも実はナギが教えたものだったりする)をしていた。ナギは自分の太刀の切れ味を見ている。砥石のかけ方を間違えると火を噴く太刀だから、慎重だ。
2人が話しているのは、村の訓練所で今頃特訓しているであろう彼女たちのオトモアイルーのことだ。1ヶ月の修行の中、初日はこなかったものの2日目以降は結構な頻度でハーヴェストとチェルシーもナギのもとへ来ており、一緒に修行をしたいと言いだしたのだ。そこにふんぞり返ったルイーズが獣人族としての戦い方をレクチャーしたのが始まりというわけである。おおよそ人間はメラルーのことを嫌っているが、メラルーとアイルーの仲はそう悪いわけではない。“黒い毛の同胞”や“白い毛の同胞”などと呼び合って、それなりに仲の良い関係を築いている。もっとも、人の集落で生まれ育った生粋の都会アイルーは、人間と同じ思考回路なのでメラルーのことを嫌っているというきらいはあるが。
日頃デュラクやナギとともに手合わせし、様々なモンスター相手に立ち回ってきたことで、ルイーズは一流ハンターのオトモアイルーと比べて遜色ないほど、否、むしろ彼らを上回る能力を持っている。惜しみなく金や素材を(ナギにとっては勝手に)つぎ込んで作られたオトモ武具の力も大きいが。
何せ毎日上位のナルガクルガの尻尾
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