13 「★★★『渓流のジャギィ討伐作戦』」
[1/11]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「おはようございます! いい狩り日和ですね!」
「おはよう。デュラクは? いないの?」
すぐそこまで乗ってきたけど、もう帰したよ。
欠伸をこらえながら返事すると、エリザの残念そうな声が響く。眠い。目覚ましを3つかけて(つまるところバネ仕掛けのタイマーである)ようやく今朝起きだしたナギは、同じく眠そうに、というか彼の頭上で完全に寝こけているルイーズを抱えて肩に乗せると、片腕で支えた。
「あら? 優しいのね」
「落っこちて騒がれたら困る。それに襟巻きみたいであったかいから。それだけさ」
初秋の朝は肌寒いといってもよい。人間よりもやや体温が高いメラルーを肩に担ぐだけで、随分緩和された。ルイーズもナギの首元が温かいからか、無意識に擦り寄ってくる。ぽんぽんとその背を叩くと、妙な笑みを浮かべている少女2人を促して村に入った。
朝早いというのに、もう村人の何人かは起きて働き始めていた。その筆頭がヴェローナ鍛冶店の長グレゴワール・ヴェローナ。何か木材を運んでいたのだが、ナギを認めると律儀に頭を下げた。無言だが、その力強い目からは「孫を頼む」という言葉が伝わってきた。こちらも無言で頷いて店の前を通りすぎ、集会浴場へ。
「どれくらい実力が上がったかを見たいだけだから、今回は小型モンスター掃討クエストでいこう」
「えっと、あ、はい」
頭の回転が追いつかずどもるリーゼロッテだったが、うんうんと頷いて了承の意を示す。エリザは心得たように掲示板へと歩みを進めた。細い顎の下にほっそりした指を添えて小首をかしげながら、数枚の依頼用紙をピンから取った。ナギがやり方を知らないのを心得ているからだ。
「ここら辺が妥当かしら」
「ふむ…ジャギィ20頭と、ジャギィノス8頭、リノプロス8頭、ルドロス10頭ね。2人は孤島に行ったことないみたいだから、ジャギィノスはまた今度にしようか。あとは砂原、水没林、渓流だけど…」
「あ、あたしたち砂原も行ったこと無いわ。水没林は、何回か行った程度で」
「じゃあリノプロスも無し。やっぱり渓流が一番近いし、地理も把握してるね? それにしよう。ジャギィ20頭だ」
「じゃあわたし受付行ってきます!」
元気よく依頼用紙を持ってカウンターに駆けていったリーゼロッテを尻目に、エリザが「そういえば…」とナギに尋ねた。
「あんた、ハンターじゃないのよね? 武器持ってるけど。あれ、防具は?」
ナギの現在の服装は、リーゼロッテがばったり河ではち合わせた時に着ていたあの見慣れない服に、背中に銀の太刀を背負っているかたちだ。紺色の布地で、リーゼやエリザの普段着に上半身のところは似ている。が、もちろん下はスカートになっているわけではなく、重ねられた布が足首まで伸びている。見方によってはスカートと言えなくもな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ