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シャンヴリルの黒猫
46話「第一次予選 (2)」
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代に一時期フェアラビットの乱獲をしたことがあった。ノーアがその味覚にハマったのが原因である。彼女のマイブームに応える為、毎朝毎晩主産地であるフェイ・ド・テルムのとある森に足を運び、肥えた兎をかっさらっては持ち帰った。その際強者について回る魔物達を置きっぱなしにしてきたことについては、少し申し訳なく思っている。
 結局何が言いたいのかって、

(これくらい、俺にとっちゃあお茶の子さいさいってね)

 「よっ」と声を出して一番高い枝に飛び乗ると、下の森を見下ろした。この森に生える木は背の高い針葉樹より、横に伸びる広葉樹が多くを占める。他の木より数メートル上方の視界だが、おかげで目的のものはすぐに見つかった。

 パラパラとプロペラが回るような音がすると思ったら、横に映像転送魔道具が浮いていた。しっかり目が(相手に“目”はないが)合ってしまったのに少々の羞恥を覚える。

(ユリィと目が合ってたりしたら恥ずかしいな。…なんだか、よくわからないが)

 そのまま躊躇なく地面に飛び降りる。魔道具もしっかりその姿を追う。思ったより機敏な動きができるらしい。小枝を叩き折りつつ着地、と同時に前転して勢いを殺した。上からパラパラと葉が降り落ちる。

(こっちか)

 さっきみつけたものの方角は忘れずに、木の根で歩きにくい森をすたすたと歩き始めた。きちんと気配を殺しておくことも忘れない。


ジ―――…


 魔道具だけが、彼の後を追って森深くに消えていった。

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