02元帥府の女傑
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「入れ」
とフェルナーが言うと、そこには唯一の女性士官がいた。
「ワーレン提督の副官のニンファドーラ・トンクス大尉であります。」
「用件は?」
と、フェルナー。
「閣下より、オーベルシュタイン参謀長閣下に直接お渡ししなければならない書類を預かって参りました。」
フェルナーは頷くと、書類を受けとり執務机に座っているオーベルシュタインに手渡した。オーベルシュタインは黙ってそれを読み始める。
そして、ふと視線をとめると顔をあげ、黙ってドーラを見つめた。フェルナー以下オーベルシュタインの部下達は「またか」と思い余り気にしていない。オーベルシュタインがこのようにする時は書類に不備があった時なのだ。
ただでさえ、書類を持って来た奴はオーベルシュタインの雰囲気にビビっている。自発的に不備を見つけさせ、なおかつ効率的に直させるには、オーベルシュタインの必殺?のドライアイスの眼差しはとても有効なのだった。そして、ドライアイスの眼差しという攻撃を受けた後の彼らの顔は、フェルナー以下オーベルシュタインの部下達にとっては良い話のネタとなるのである。
ところが。
「あの、どうか致しましたか?参謀長閣下。口でおっしゃって頂かないと分からないんですが…体調が優れないのですか?顔、真っ白ですし…保健室に行かれる事をオススメしますが。」
「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」←もはや言葉にならない
こんな事を真顔で言うドーラもドーラだが、オーベルシュタインの前で平然としていられる事に驚く彼らも相当毒されている。
だが、彼らにとっては、驚愕すべき異常事態(大袈裟)なのである。大してキレイでもない小娘(関係ない)がオーベルシュタイン閣下のドライアイスの眼差しを易々とカットしてしまったのである。彼らにとっては非常に問題?であった。
オーベルシュタインは暫し無言でドーラを見つめると言った。
「書式が提出用書類の物と違う箇所がある。早急に直すように。」
「はっ。」
ドーラはオーベルシュタインから書類を受け取ると鼻歌まじりに部屋を出ていった。
フェルナー達は開いた口が塞がらない。
オーベルシュタインは額に手をやると言った。
「私とした事が………」
そしてフッと笑うとまた書類の決済を始める。
(((((…ウソだろ……)))))
あのオーベルシュタインですら、倒す?事が出来なかった小娘にフェルナー以下オーベルシュタインの部下達は末恐ろしい物を感じたのだった。
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