第13話
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い」
「はーい。師匠、また明日!」
元気よくシエル嬢はゼロの元へ駆けていく。転校当時とはすごい違いだ。
「と、なった訳だ、一夏」
「それがトモじゃないか」
背の一夏に肩をすくめて見せると、軽い感じて一夏が返してくれる。
この気兼ねしなくて良い一夏との掛け合いが、一番心地良い。
持つべきは友、とはよくいうものだ。
「ボーデヴィッヒとはうやむやになった。ゼロからは、偽物ボーデヴィッヒに対する行動でよく思われてない。織斑先生には怒られる。散々だな」
「良いじゃないか。毎日怒られたり、ゼロに嫌われてる俺に比べれば」
「違いない!!」
二人でどっと笑い、肩を組んで部屋に戻った。
眠りにつくまで、俺達二人から、笑いが消えることは無かった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ボーデヴィッヒと戦ってから数日後、俺は、改めて一夏と自室で戦いを思い返していた。
「あの時は熱くなったが…、実際は勝てたか怪しいな。向こうも手札を出しきってはいなかったし」
「アレで手を隠す余裕があるとなると…、当たった時厳しくなるな」
振り返ってみれば、ボーデヴィッヒは俺の動きを待っていた感じがあった。
手の内を晒しきらず、現時点の俺を相手に余裕すら感じさせる、代表候補生の名は伊達ではなかった、ということか。
「それ位が良いのかもな。目標は近く高く。そうだろ?」
「その通りだ、一夏」
「それはそうと、トモ、あのボーデヴィッヒのそっくりさんはどうなったんだ?」
「俺も詳しくは知らないが…、芳しくないみたいだな」
あの後、調査された白兎は、身元不明の上、その目的も白兎自身が語らず、一向に進展していないらしい。
ただ、医務室へ連れていったゼロにはなついたらしく、今はゼロが面倒を見ている。
先日、わが教室に『ハクト』を名乗り、学園の制服を着ていた時は、引っくり返るかと思った。
そのハクトがゼロと一緒に学びたいとごねて、受け入れたゼロが相当無茶を言ったようで、先生方は疲れきっていた。
「一夏、ハクトには注意しろよ」
「何で?ゼロなら抑えられるだろ?」
「ゼロ『だから』尚更注意が必要なんだよ」
ゼロは、基本自分に好意を抱く『異性』に甘く、意見を曲げない男だ。
これだけなら別に構わないが、ハクトがゼロに何かしら吹き込まないか、と懸念が残る。
もしそれが、一夏を悪意を持って害そうとする内容なら?
最悪の事態になる。
ゼロが私怨でISを動かす餓鬼だと思いたくないが、可能性がある以上、警戒した方がいい。
改めて一夏に注意を促そうとすると、大きな音をたて、乱暴にドアが開けられた。
開いたドアの向こうに、憤怒の形相のゼロが居る。予測通りのゼロに、強い失望を
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