第三十一話 平民なんだよなぁこれが
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
そう、闘悟はあの瞬間、魔力を足に集中させて、物凄いスピードでリューイの持つ剣の根元に蹴りを入れていた。
蹴りの威力で、剣は粉砕され刃が地面に落ちた。
それだけではなく、闘悟はリューイの腹にも一撃を加えていた。
その時込めた魔力はもちろん一パーセント程度だったが、手加減して蹴った。
本気で蹴れば剣のようにリューイの体を粉砕してしまう危険があったからだ。
名付けて『一パーセントキック・弱』ってところだ。
今は魔力を抑えているので、膨大な魔力量に気づいてはいない。
だからこそ、どうやって闘悟がこの状況を生んだのか誰も分からなかった。
クィルやミラニでさえ、唖然としている。
闘悟の攻撃の速さに、目が追いつけていなかったのだ。
「今の魔法は良い線いってたぜ」
「ぐ……」
「魔力で身体能力を高める方法は誰もがやってるけど、お前みたいに雷の魔法で加速するとは、いや〜感心感心」
痛みのせいで闘悟の言葉になかなか反応できてはいない。
「恐らく、身体能力を高めたというよりは、速さそのものを強化したみてえだな」
あの時、向かって来ていたリューイがいきなり加速した。
種明かしは……これだな。
闘悟は地面に視線を落とす。
そこには、電気を帯びた細い紐状(ひもじょう)のものが地を這(は)っていた。
「さしずめこれはレールだな」
その言葉を聞き、リューイは目を大きく見開いた。
まさか、そんな簡単に見破られるとは思っていなかったのだ。
「レールの終着点まで、レール上を超速で移動できる魔法か?」
リューイは沈黙を守る。
痛みで話せないというわけではなさそうだ。
つまりは、肯定というわけか。
リューイは最初の攻撃の時、このレールを作っておいたのだ。
そして上手く闘悟を誘導して、レールの近くに来させる。
タイミングを見計らって先程の『電雷瞬衝(ボルテスクイック)』を使って、超速で移動して闘悟の背後に回り、剣で一刀両断にしようとした。
「大した魔法の使い方だ。これを仕込んだ手際もなかなかだ。さすがは貴族様ってとこか? だけど、ネタが割れりゃ何てことはねえ」
闘悟の言葉に悔しそうに顔を歪める。
「さて、降参すっか?」
闘悟のその言葉に、場が再び熱を込め始めた。
今度は男達の大きな歓声が飛び交う。
「な、何だか分かんねえけど、トーゴォォォォォ!!!」
カイバの声も響いている。
リューイを応援していた女達は、未だに信じられないように時を止めている。
「ふ……ふざけるなぁっっっ!!!」
怒声と共にリューイの体から凄まじい電撃が飛び散る。
すかさ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ