第三十一話 平民なんだよなぁこれが
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イは視線をクィルに送る。
だが、次の瞬間彼の表情が歪む。
「だから、黙って見てろって言ったろクィル」
煙がいきなり晴れる。
まるで強風が吹いたような感じだ。
そして、その煙の中からは、不敵に笑う闘悟が現れた。
しかも、皆が驚くべきことに、無傷でだ。
驚愕の表情で闘悟を見つめるリューイをよそに、クィルは喜びに顔を緩ませていた。
ミラニもどうやら、ホッとしたような顔つきをしている。
何だかんだ言っても、闘悟のことが心配だった。
他の者も闘悟の生還には驚くが、それ以上に愕然とする事実があった。
それは、闘悟を包んでいる、恐ろしいほどの魔力量だ。
無論闘悟は例の如く一パーセント程度しか行使(こうし)していない。
だがそれだけでも、達人級以上にはなる。
ただの学生が生み出せる魔力ではない。
そのことに周囲は異常なものを見る目を闘悟に向けた。
それはリューイも同じだった。
「……な……何者なんだ……貴様は……っ!?」
愕然とするリューイをよそに、闘悟は意地悪な表情を彼に向ける。
「知りたいか?」
すると、リューイの目前から闘悟は消えた。
気づいた時は、闘悟の拳が腹に突き刺さっていた。
「がはっ!」
「ただの平民だよ」
前のめりにリューイは倒れていく。
「う……そを……つけ……」
最後の言葉を放ち、リューイは意識を失いかけた。
だが、そのまま終わると思ったら、闘悟はいきなりリューイの頭を掴んで地面に叩き下ろした。
「ほれ、もういっちょ〜!」
バキッという音がして、地面が割れる。
リューイは完全に沈黙した。
「ふぅ、スッキリしたかな」
実は少しばかりリューイにムカついていた。
なので、気分晴らしに最後の追い打ちをかけた。
これでリューイのプライドはズタズタになったはずだ。
周りからは「容赦ねえ〜」という声が聞こえてくる。
そうそう、オレって容赦ねえんだよ。
だから喧嘩ふっかけてくんなよな。
闘悟はニッと笑った。
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