第三十一話 平民なんだよなぁこれが
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ず闘悟は後ろへ跳ぶ。
地面を焦がすような電流を生み出しながら、リューイは必死で立ち上がる。
「ま、負けるわけがない……僕は貴族だ……王侯(おうこう)貴族だ……あの三賢人の息子だぞ……っ!」
ブツブツ言いながら立ち上がる姿は、怖いものを感じる。
「平民如きに……屈する僕ではない!」
「いつまでそんなこと言ってんだ?」
「ああ?」
殺意を含んだ形相(ぎょうそう)を向けてくる。
「確かにお前の親父は偉いのかもしんねえ」
「かもではない! 偉いのだっ!」
「そうかよ。でもな、その偉さはお前のじゃねえだろが」
「……くっ!」
図星をつかれたのか言いよどんだ。
「せっかく魔法の才能も人徳もあるんだろ?」
まあ、ほぼ女性限定みてえだけど。
「だったら、いつまでも勘違いしてねえで、お前自身の力を見つけたらどうだ?」
「僕自身の力だと……?」
「そうしなきゃ、お前はいつまでたっても親父を越えられねえよ」
「ぐっ……だ、黙れっ!!!」
リューイは両手を胸の前に持ってくる。
掌を向き合わせる。
その空間に電撃が集束する。
「蒼紫(そうし)に彩られた敬虔(けいけん)なる力持て、幾重(いくえ)にも魅(み)せる刃(やいば)となり、立ちはだかるものを土(つち)くれとなせ!」
かなりの魔力が集まっていく。
全魔力を集中させている。
周囲から声が聞こえてくる。
その中の一人が叫んでいる。
その声を聞く限り、どうやら今から放つ魔法は、彼の最大の魔法で、フービ先輩とやらと戦った時に使用した奥の手らしい。
だが、闘悟は表情一つ変えない。
それがまたリューイの逆鱗(げきりん)に触れている。
「上には上がいるってこと、教えてやるよ貴族の坊ちゃん」
「き、き、消えろぉぉぉぉぉっっっ!!! 『雷の枝(スパークトゥイッグ)』ッッッ!!!」
リューイはその電撃を地面に向けて放つ。
すると、地面を破壊しながら闘悟に向かって行く。
闘悟の手前まで来た時、一本の電流が枝分かれして何本もの雷と化す。
逃げ場がない。
このまま無防備にくらえば、丸焦げにされてしまうだろう。
そう思った闘悟は全身に魔力を込める。
ドゴォッッ!!!
物凄い衝撃音と煙が舞い上がる。
リューイは息を激しく乱しながらも、手応えを感じたのか嬉しさに口角が上がる。
そして、徐々に煙が晴れていく。
これで勝負が決した。
その場にいたほとんどの者がそう思っていた。
「ト、トーゴ様ぁっ!!!」
クィルの悲痛な叫び声が響く。
そんな掛け声など無駄だと言わんばかりにリュー
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