第1章 アクセサリー
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近になって幽霊見えるようになったし、丁度いいと思ったからだ。
そういえば、何故俺が路地裏を散歩しているか。こんなに晴れているんだ。もっと緑が多いところを散歩すればいいと思われるだろう。確かにそうだ。だが、俺は露機裏を散歩するのが好きなのだ。ビルに囲まれていて薄暗くて怪しい空気が流れる、そんなところが好きなのだ。もしかしたら新しいことを発見するかもしれない。
幽霊も見えてしまうようだから何か特異点とか発見できるかも、とかいうありえない期待を持ちながらの散歩だ。
路地の道を気のおもむくままに進んだ。ぼーっと何も考えずにだ。するとL字の角にあたった。曲がった。その道を曲がった。そして後悔した。
目の前に何かをむさぼり喰っているやつがいた。
「むしゃ……くちゃ……」
そいつは音をたてて人間? を食べている。
俺はこいつを知っている。
この食人鬼を! こいつは、俺の親友を!
だが、まだ確証があるわけではない……。ただ、これは無視してはいけない。なんとか……しなければ。だがどうする? ただの大学生の俺には何もできない。そこらへんに武器があるわけでもない。武器があってもあいつに勝てる気が起きない。
どうすれば……。
そうたじろいでいると、そいつが俺を見た。
仮定が確定に変わった瞬間だった。
この町には1か月ほど前から見えない恐怖に脅かされていた。
1週間に何人もの人が行方不明になる事件が起きた。その時は誰も犯人を見たものはいなかったが、たまたま見てしまった人がいた。そいつは大学の女子生徒で学校の帰りだったそうだ。
その生徒はその犯人と思わしき人物からなんとか逃げ切り警察にあったことすべてを話したそうだ。これにより犯人の姿が見えてきて解決にも近づいた。犯人は誘拐していたのではなく人間を喰っていたらしい。血1滴残らずすべて食って証拠隠滅をしていたらしい。何故喰ったかの理由はまだ分からないらしい。
ただこれをきっかけに犯行はぴたりと止まった。恐怖に包まれていた町は少しづつ陽気さを取り戻していた。
だが、つい1週間前、また誘拐事件が起きた。犯行が似ていることによりあの食人鬼が犯人ではないかとされた。これにはほぼ明確に理由があった。その誘拐された被害者。それは犯人をたまたま見つけてしまった女子生徒だった。
その女子生徒の名前は東美紀(あずま みき)。俺の幼馴染であり親友だ。
そして俺の目の前にいるそいつはあの事件に出てきた食人鬼。美紀が言っていた犯人像にすべて一致する。
こいつを殺さなくては、という使命感がふつふつと湧き上がってくるのが分かる。
手が震える。興奮する。殺す。こいつを今ここでぶっ殺す!
いきなり食人鬼の動きがピタリと止まった。そして俺の目を見た。
蛇ににらまれたカエルとはまさに今
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