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万華鏡
第二十五話 夜の難波その十二

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「レスラーの人とかって滅茶苦茶大きいですからね」
「ジャアント馬場とかね」
「二メートルですよね」
「ああ、十六文だよ」
 靴のサイズだ。その巨大な脚からキックを放っていたのだ。
「あの人はまた別格だけれどね」
「大きいですよね」
「普通に一九〇ある人が多いね」
 それがレスラーだというのだ、そして力士だ。
「体格も消費カロリーも違うから」
「食べるんですね」
「ああ、そうなんだよ」
 それで食べる量も違うというのだ、飲む量も。
「あの人達は」
「ううん、これまで結構食べてきたけれど」
 景子は今食べている串カツを見つつ呟いた。その串カツは狐色ではなくソースのダークブラウンで染まっている。
「何もなしで二百は」
「無理よね」
「五十いけたら凄いわよね」
「ええ、男の子でもね」
 里香が景子にこう返す。
「力士さんとかは本当に別格ね」
「そうね。力士さんは同業者みたいなものだけれど」
 ここで景子はこんなことも言った。
「神社から見ればね」
「えっ、そうなの?」
「力士さんもお祓いをする存在なのよ」
 琴乃に話す。
「実はね」
「そうだったの」
「そう、その力でね」
「そういえばお塩使うわよね」
 清めの塩である、土俵にこれを撒くのは相撲の中では絶対のことだ。
「手をぱんと叩くのも」
「全部お祓いよ」
「じゃあ力士さんって悪いもjのを取り払ってくれるのね」
「神主さんと同じでね」
 そうした存在だというのだ、その意味で神主と力士は同じものだというのだ。
「そうなの」
「成程ね」
「だから神社の中でお相撲をしたりもするし」
「あれそういう縁だったの」
「お相撲はお祓いの一環でもあるの」
「四股を踏むのも」
「勿論よ」 
 これもだった。
「そうしたことはね」
「何かそういうこと聞いたら力士さんって」
「有り難いと思うとか?」
「いえ、神主さんと一緒ならね」
 琴乃がそこから感じたことはというと。
「親しみ感じるわね」
「そうなるのね」
「ええ、神主さん好きだから」
「じゃあ私のお父さんもよね」
「あまりお話してないけれどいい人よね」
「それならね」
 神主を信頼出来て力士もだというのだ。
「そうなの、力士さんってそうなのね」
「ええ、神主さんの親戚みたいなものだから」
「好きになってきたかも」
「それはいいことだけれどね。けれどね」
「けれどって?」
「力士さんは食べるから」 
 またこの話になる、力士の食べる量のことだ。
「それはね」
「お金があってもよね」
「沢山作るのは大変だから」
 量もまた時間を食うものであるからだ、その時の料理の種類の数にもよるが量が少ないとそれだけ手間暇もかからないのだ。
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