第二十五話 夜の難波その九
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「いいのよね」
「よし、今日のシメはな」
美優の目が燃えている、それも真っ赤に。
「串カツじゃんじゃんだな」
「それで行こうね」
琴乃も燃えて続く。
「最後は」
「ああ、二度漬け禁止でな」
「キャベツ食べ放題でね」
二つの誓いも立ててそうしてだった。
五人は串カツの店に入った。どちらかというと新世界が本場であるが難波にもまた店がある。
その中の一店に入りそしてだった。
「串カツお願いします」
「コースで」
「あいよ」
明るいおじさんが応じる、店の中は明るい和風だ。
店の中ではサラリーマン達がビールを肴に飲んでいる、そして。
五人は店のカウンター、ここでもカウンターに五人並んで座ってそうしてだった。
串カツを食べる、ビールもまた。
ソースの中に入れてそしてだった。
食べる、すると。
「うん、やっぱりね」
「噂通り」
「やっぱり美味しい」
「それもかなり」
「だから大阪なんだよ」
おじさんもここで言う。
「美味いからさ」
「だからやっていけるんですか」
「生き残るんですか」
「うちの店も串カツもね」
そのどちらもだというのだ。
「生き残れてるんだよ」
「ううん、何てことない食べ物かも知れないですけれど」
「それでもですね」
「そうだよ、串カツは凄いんだよ」
実際jに焼きながらの言葉だ。
「これはな」
「あとキャベツもですね」
「これも」
「どんどん食べるといいよ、キャベツもね」
おじさんはそれも勧める。
「それもね」
「食べ放題ですよね」
「キャベツは」
「そうだよ」
笑顔でその通りだと返すおじさんだった。
「どんどん食べてくれよ」
「串カツにキャベツがセットなのは」
「串カツを食べ過ぎると胸焼けするだろ」
油のせいだ、串カツの難点である。
「そうなるだろ」
「はい、お肉にしかも揚げものですから」
「余計にですよね」
「だから胸焼けしやすいけれどな」
そこでだというのだ。
「一緒にキャベツを食べると胸焼けしないんだよ」
「キャベツはキャベジンが入っていますから」
里香が言う。
「胸焼けを解消してくれますね」
「そうだよ、キャベツはいい野菜だよ」
笑顔で話す。
「ビタミンも豊富でな」
「それを食べてですよね」
「ああ、胸焼けを解消しながらな」
「食べるんですね」
「ただなのはサービスだよ」
大阪伝統のサービスの一つだ。大阪人は吝嗇だと評判だがこうした気前の良さも併せ持っているのである。
「さあ、だからね」
「どんどん食べてですね」
「そうしていいんですね」
「ああ、そうしてくれよ」
笑顔で五人に話す、そしてだった。
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