第二十五話 夜の難波その八
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「景子ちゃんは知ってるわよね、やっぱり」
「お家がお家だからね」
それでだというのだ。
「神社だから」
「お伊勢さんはよね」
「それこそ総本山だから」
神道のである。
「だからね」
「知ってるわよね、伊勢うどんも」
「家族で何回も行ってるし」
「だから余計によね」
「ええ、赤福餅もね」
これも知っているというのだ。
「やっぱりお伊勢さんに行ったら伊勢うどんと赤福は絶対に食べないと」
「はじまらないのね」
「絶対にね」
景子は彩夏に言い切る、それも確かな顔で。
「大阪で言うとたこ焼きよね」
「それときつねうどんね」
「他のもだけれど」
これまで食べてきた色々なものだ、自由軒のカレーも蓬莱の豚饅も夫婦善哉もである。
「それとこれから食べる」
「串カツもよね」
「さて、どうなのかしらね」
期待している声だった。
「串カツはね」
「キャベツ食べ放題でね」
里香がその串カツのことを話す。
「それでおソースは絶対に一回だけ漬ける」
「そうそう、二度漬けはね」
「絶対に禁止だから」
大阪では巨人を応援するのと同じだけの悪行とされている。北朝鮮を支持するのと同じだけと言ってもいい。
「そこは守ってね」
「確かお肉だけじゃないわよね、揚げてるの」
「色々あるわよ」
それが串カツなのだ。
「うずらの卵に海老に貝柱にね」
「海のもあって」
「鱧もあるわよ」
関西の定番だ、祇園祭が通称鱧祭と呼ばれるまでに定着している魚だ。
「鰻も蛸も烏賊もね」
「多いわね、海が」
「玉葱もお餅もあるわよ。大蒜もね」
「何か聞いてるだけで」
景子の目が微笑んできていた。
「涎が」
「そうよね」
「もうかなり食べてるのに」
それでもだった。
「串カツのことを聞いたら」
「串カツにね」
それに加えてだった。
「後はね」
「カツっていえばね」
「ビールよ」
この組み合わせこそがだというのだ。
「そうなるからね」
「そうよね。最後はビールね」
「串カツは一本一本は安いし」
焼き鳥の様なものだ、食べ放題の店もある。
「一杯種類もあってね」
「数も食べられる」
「そうよね」
「そうなの。まさに大阪の食べ物だから」
下世話に言えば庶民の料理jになる。もっとも庶民庶民と言うマスコミこそが庶民からかけ離れた権力者であるが。
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