第一幕その一
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うですね。確かに」
ホルテンシウスも目を細めさせて彼女の言葉に答える。
「それも実に」
「ええ。それで宿は」
「はい、それですが」
ここで侯爵夫人に対して説明しようとする。しかしここで。村に若い農夫が駆け込んで来た。そうして村人達に対して大声で叫ぶのだった。
「やった、助かったぞ!」
「助かった?」
「フランス軍が帰ったのか」
「ああ、そうだ」
そうだというのである。大声でさらに告げる。
「わし等は助かったんだ。奴等が帰ったからな」
「そうか。それは何より」
「わし等は助かったのか」
「フランス軍は来ない」
このことを心より喜んでいる言葉であった。
「こんないいことがあるか」
「全くだ。兵隊が一番迷惑だ」
「暴れるし女の子にちょっかいを出す」
こうした見方は本当に何処でもであった。後に義和団事件という騒動が清で起こるがその時に日本軍が驚かれたのはそううしたことを全くしないからだ。逆説的に言えば軍隊というものはそうしたことをする連中の集まりだと思われていたのである。そうした時代だったのだ。
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