第一物語・後半-日来独立編-
第三十章 辰の地、戦火は走る《1》
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。宇天長の救出はセーランの最後の告白も含められてるから、解放場に必ずセーランを送り届けないといけない。だけど、長がいる集団は積極的に狙われる。
ここで新たな作戦だ』
はっきりとそう言った。
揺れる船上の上で、彼も揺れながら周囲のことはお構い無しに続ける。
『これから長であるセーランには単独行動を取ってもらう。そうすればセーランを探すために人員を少なからずあっちは割いてくる筈だ。だってこちら側は長が宇天長の元へ行きますよ、て言ってるようなものだからね』
「なら何処へ行けばいい」
『解放場がある西貿易区域はそのまんま辰ノ大花の西側にあり、宇天長がいるであろう委伊達家の屋敷は辰ノ大花の中心にある。屋敷から貿易区域へと繋がる道は頑丈に警備されている筈。これは推測だけど、黄森と辰ノ大花の境目の所は警備が薄いと思うんだ』
「そこを警備しても、こちら側は意味が無いで御座るからな」
『だからセーランは黄森と辰ノ大花の境目近くを通りながら、西貿易区域へ行ってもらうよ』
「了解。西貿易区域近くは警備が固そうだからな、ここら辺で早めに単独といきますか」
『皆には覇王会指揮官のアストローゼが伝えるから』
『ほら、お前ら情報は欲しいか? 欲しいだろお? ならば価値あるものと交換だ。なにい、別れた彼女から貰ったペンダントだと。そんなもの一銭の価値も無いわ!』
『価値あるものはやっぱりお金! はい、マネープリーズ』
映画面越しに指揮官とその補佐が何やらやっているようで、その度に戦術師であるレヴァーシンクの元へ苦情の映画面が表示される。
が、レヴァーシンクは何食わぬ顔で、表示された映画面を割る。
彼らには何も通じないと知り、今度はそれを見ていたセーランの元へ苦情の映画面が来た。
『どーなってんだこの覇王会は!?』
『作戦を知りたければ価値あるもの寄越せとか、金寄越せとか、てめえらそれでも覇王会かよ!』
『セーラン君、社交員にまで被害が広がっているのだが?』
『一回一回の情報料が高過ぎるわ。やるならもっと安く!』
『『そう言う問題じゃねえ!!』』
『え――!? なんで私が怒られるのですか!?』
何やら彼方の方で一人の社交員の女性が自身が発言した言葉により、周りから怒鳴られて涙を浮かべている。
これはこれで面白いと思うが、仲間割れをしている場合ではない。
解決のために長であるセーランは、映画面の向こう側にいる指揮官と補佐に注意の言葉を投げる。
「商売なら後にしてくれ。部下の苦情の後始末は仕切ってる俺の担当なんだからな」
『そうか、これを許してくれたらお前にはこれをやろうと思ったのにな』
そう言い、アストローゼが枠からはみ出ていた腕を映す。
映し出される手に握られていたのは、
「そ、それは“得願流”初回版! あの委伊
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ