第一物語・後半-日来独立編-
第三十章 辰の地、戦火は走る《1》
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侍の自分にとっては相性の良いものだ、と美鷺は思う。
「これからは何時でも側にいられるとは限らない。自分の身は自分で守れるようにならないといけない」
「拙者、この黒風に誓い強くなるで御座るよ」
「……」
「姉上殿?」
「いや、何でもない。強くなると信じているよ」
何を思ったのか無口になったが、大したことは無さそうだ。
言い残し、鷹代は先に行った社交員の群れを追い掛ける。
姉の後ろ姿を見て、渡されたを黒風を見た。
隅々まで手入れの行き届いた、長年使い込まれたものだとすぐに分かった。
これは姉が使っていたものであり、それを自分に託したのだ。
姉の思いが込もった黒風を強く握り締め、黒風を後ろ腰に納める。
『へえ、宝具なんて珍しいものを持っているんだね』
美鷺の前に、レヴァーシンクが映る映画面|《モニター》が表示された。
声に反応し、言葉を返す。
「宝具とは何で御座るか?」
『君、授業でやったでしょ』
「忘れたで御座る!」
『自信を持って言えたことじゃないんだけど……』
半目のレヴァーシンクを気にせずに、早く説明するように求める。
分かったのか、日来の周りに飛び交う戦闘艦の様子を確認しながらレヴァーシンクは説明する。
『僕達が使う戦闘道具は武具、宝具、神具の三つに分けられる。
武具とは特別な能力を持たないもののことで、刀とか銃とかだね。宝具は人工的に特別な能力を与えたもの、君の黒風はこれに当たるね。神具とは神の力とか、驚異的な力が宿ったものだ。
この三つのうち、一部の宝具と神具は使用者を選び、それ以外の者が触れるとすり抜けるとか、砂になるとか、死ぬとか言われてる』
「つまり、この黒風は何かしらの能力があると言うことで御座るな?」
『そう言うことになるけど、能力を使うために何らかの条件が掛けられている場合もあるからね。鷹代さんもそこを教えなかったのは間違えじゃないかな』
「いや、きっと真に使いこなすには自らの知恵で考え、自らの感覚で感じろとの意味があるので御座ろう。意味の無いことを姉上殿はしない性格で御座るから」
『君が言うんだからそうなのかな』
「てか、そのためだけに話しに来たのかよ」
前を走るセーランはジャンプしながら、美鷺の元へと後退してきた。
着地の際に膝を曲げ、衝撃を殺す。
浅く曲げたために膝にダメージが残るが、気にすることはない。時間が経てば痛みは消える。
利点は、着地した後の動作にすぐに移れることだ。
一旦距離が離れたものの、美鷺が速度を落としたのもあるがセーランはすぐに追い付いた。
「なんか作戦でも追加するのか」
『その通りだよ』
空で攻防を繰り広げる日来にいるであろうレヴァーシンクは頷き、付け加える作戦の内容を説明する。
『なあに、簡単なことさ
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