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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第三十章 辰の地、戦火は走る《1》
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合図となり、日来一同は各個別々の方向へと散らばった。
 雄叫びは遠く離れた場所まで届き、その声によって黄森と辰ノ大花も戦闘の布陣を完成させる。
 宇天の長を救出し、日来の強さを知らしめる。
 日来独立と宇天の長救出を賭けた、戦いの始まりだ。



 日来の群れは大きく分けて四つに分かれている。
 一つは戦闘中心の組。
 一つは結界の破壊に向かい、破壊後は遊撃を任せられる組。
 一つは地上戦で傷付いた者を癒す、治療を任された組。
 最後の一つは長を宇天の長の元へ行かせる、そのための援護をする組だ。
 先陣を切る長に釣られ、その長を援護する者達が後に続く。
 それを追い抜かす形で、戦闘中心の組が前を行く。
「ちんたら走ってんじゃねえよ。時間掛けたらその分、守りを高められるぞ」
「うっせーよ。お前らみたいに運動系じゃねえんだ」
「言ってろ。俺達、戦闘組は先に行って好き勝手暴れさせてもらうぜ。今までの借りを返さねえとだからな」
 同級生の学勢とセーランはしばし会話を交わし、言葉を交わした相手は民家の屋根を強く蹴り飛ばし数十メートル先へと行った。
 自身も屋根を走ってはいるが、日頃から走っているわけではないので走りずらい。
 地面を走っている者もいるが、屋根を走っている方が周りの状況を確認し易い。
 後で屋根走る練習しとかねえとな。
 思いながら足を運び、屋根の上を走って行く。
 解放場がある西貿易区域との距離はまだまだあるが、まずは結界を壊すために専念する。
 だから、セーランは皆に伝える。
「よく聞け、これから結界の破壊に向かった組に合流する。学勢は俺に付いて来い、社交員は社交員の方で任せる」
 この言葉に応答するように、横から社交員の一人が来た。
 体格の良い、衣服が所々千切れている。筋肉マッチョと呼ぶに相応しいワイルドな大人だ。
「だったら社交員は北側に向かうぜ。遠いから子供|《ガキ》には体力的に無理だろうからな」
「任せたけど、若者ナメんなよ?」
「へっ、良いねえその威勢。さすが覇王会の天辺だ。――じゃあな」
 別れ際、ワイルドな社交員に背中を強く叩かれた。
 図に乗るな、と意が込められものだが気合いが込められたものでもあった。
 彼に釣られ、社交員の者達は次々と離れて行くが一人こちらへ向かって来る者がいた。
「姉上殿」
 後方を走っていた美鷺が言うと、その隣には鷹代がいた。
 美鷺と同じ長髪を束ねたポニーテールで、鋭い眼差しのまま無音で屋根を行く。
「お前に渡したいものがある」
 そう言い、腰に下げている三つの鞘の打ち一つを美鷺に渡す。
「これは?」
「宝具・黒風だ」
 言葉短く、その刀の名を言う。
 黒風と言うだけあって、鞘も柄も黒い。
 形から見るに忍刀だ。確かに忍兼
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