ALO編
episode3 四神守2
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のは、えてして言葉以上に多くを語り、気持ちを伝える。
「いえ、ずっと見てなくてもいいんですよ? 牡丹さん」
「私の仕事は御主人様にお仕えすることです。本来ならこのような雑事、すべて私めに命令してくだされば御主人様の手を煩わせることなど一切ありません」
「いえ、いちおう家出用の荷造りなんで、どこに何があるのか、とか、」
「存じ上げています。この部屋にあるものは全て」
いや、知ってるのかよ。なんでだよ。
「……持っていくものに、必要不必要の判断とか、」
「それも考察してあります。恐らく手荷物に不必要と思われるものは私のほうで保管し、命令次第即座に持ち運べるようにしておこうかと考えておりましたが」
考察してんのかよ。何をもとにどう考察したんだよ。
詳しく聞くと知らなくていいことまで知りそうなので、それは聞かないが。
廊下で出会ってから部屋までついてきた牡丹さんは、そのまま俺の家出支度というか夜逃げ準備というかを俺の目の前で当然のように始めようとしたのだ。驚いて止めたら、「?」という顔をされた。いや、こっちがしてーよ、その顔。
とにかく俺が自分ですると必死に説得し、今この状況……俺が準備するのを牡丹さんが無言で正座で背筋まっすぐで見つめ続けるというなんとも言えない場の空気を生み出す絵面が出来上がっているわけだった。実に、勘弁してほしい。他の仕事でもしてこられてはどうかと勧めても、これが仕事ですから、と言って動こうとしない。
そして、どれくらい経ったか。
「じゃ、じゃあ、なんか喋ってください。無言はちょっと」
ついに折れた俺が、その言葉を口にした瞬間、牡丹さんの目つきが変わった。
やべえ、なんか妙な迫力が……。
「……牡丹さん、な、何かされましたか?」
「……出過ぎた真似かもしれませんので」
「いえ、言ってください。言い出したのは俺ですから」
「では」
妙に光ったように見えた、切れ長の目が、とじられて。
「御主人様は、仮想世界と現実世界の差を軽視し過ぎです。反応速度と体の記憶であちらで出来たことをトレースするにしても、初速や威力は大きく異なります。あんな初動作では、当主様や玄路様はおろか、私にすら通用しないかと」
「……牡丹さんも、何か武術を?」
「棒術を少々。嗜むほどですが。そもそも……」
嗜むほどで、俺のアレは通用しない、と。
なんかショックだな、おい。
彼女の中で何かが決壊したらしく、そのままリアルとVRワールドの違和感考察が始まり、ついでに俺への駄目出しが結構な量入り……いや、ここまでズバズバ言われると結構堪えるわけだが、一度「言ってください」と言ってしまった手前遮るわけにもいかず。
くどく
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