第三十三話〜R2・愛と哀〜
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目を開け、腹部から赤い液体を溢れさせ倒れているシャーリーを。
「シャーリー!」
ルルーシュは名前を叫びながら彼女に近づく。そして近づいて初めてシャーリーの腹部に銃痕があることを確認し呆然と呟く。
「…誰が……こんな……」
「ルル…良かった……最後に…話せて……」
目の前にルルーシュがいることがわかった彼女はかすれるような声でそう呟く。
「最後じゃない!今医者を呼ぶだから!」
「私ね……記憶が戻って…すごく……怖かった」
「ッ!」
「偽物の先生…記憶の無い友達……みんなが…嘘…付いてる……世界中が私を見張っているような気がして………ルルはこんな世界で……1人で戦ってたんだね……たった1人で…だから…私は……私だけはルルの本当になってあげたいって…」
「シャーリー」
シャーリーは言う。嘘で作られた世界にいたルルーシュの本当の気持ちを知る人間として、彼の支えになりたかったと。
「私は…ルルが好き………お父さんを巻き込んだって…わかってても……嫌いにはなれなかった………ルルが全部忘れさせてくれたのに……それでも…またルルを好きになった……記憶をいじられてもまた……好きになった…」
「ッ!ダメだ!!死ぬな!シャーリー!!」
シャーリーは言う。自分を一度偽りの世界に落とした彼を再び好きになれたと。そのことを誇るように。そのことを愛おしむように。
ルルーシュは段々と弱くなる彼女の声に気付きギアスを使う。彼女の胸が上下するたびに彼女がまだ生きていることを確認するが、それに合わせて銃痕から血があふれる。しかしそれでも彼女は血を流しながら言い続ける。
「何度生まれ変わっても………またルルを好きになる…これって運命なんだよね?」
「死ぬんじゃないシャーリー!死ぬな!死ぬな!!」
ギアスを同じ人間に何度も使えないことを知っていても、それでもルルーシュはギアスを使い続ける。滂沱の涙を拭うこともせず、その消えそうな命を消したくないために。その言葉すら聞こえていないのかシャーリーは喋るのをやめない。
「だからいいよね……生まれ変わっても……また…ルルを好きになっても……何度も…何度も…好きに…なるから…………」
その言葉を最後に彼女はこの世を去った。最後まで愛する人を想いながら。ルルーシュは失いたくなかった1人の少女の横で咆哮をあげる。それは純粋な悲しみを込めた彼の嗚咽のようであった。
その光景を見ていた六課メンバーはユーフェミアが死んだ時のことを思い出す。彼女もまた自分が大切にしていた想いを伝えたい人に残して死んでいった。シャーリーもユーフェミアもどちらもなにか悪いことをしたわけではない。その2人の運命がそう定められていたというほか、表現のしようがなかっ
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