第三十話 おお……痺れたぞ
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
開始した瞬間、リューイは腰に下げた剣を抜き向かって来た。
リューイは魔法騎士タイプ。
ミラニのスタイルと同じということだ。
だが、動きはミラニほどではなかった。
これなら、魔力無しでも余裕で避けられる。
リューイは間を詰めて、横一文字に斬りかかった。
闘悟は剣から距離を取るため後ろに跳ぶ。
よし、避わせた!
剣の技術もミラニに劣っている。
次にリューイは突きを出してきた。
これも紙一重で上体を逸らして避ける。
リューイから舌打ちが聞こえる。
「ふん、平民が、逃げ回るのだけは得意のようだな」
「まあな。逃げるが勝ちってこともあるからな」
「……なら、次のステージだ」
いきなりリューイの雰囲気が変わる。
本腰を入れるってことか。
今度はどんな攻撃をしてくるのか、闘悟は少し楽しみだった。
だからしばらくは様子見をして観察しようと思った。
リューイは地を蹴って向かって来る。
先程と同じ速さだ。
そして、同じ横一文字に斬りかかってくる。
ん? 何も変化無し?
不思議に思いながらも、先ほどと同様に、紙一重に避けようと思ったが、瞬間嫌な予感がした。
だから大きくその場から離れた。
よし、避わした!
そう思った瞬間、リューイの顔が楽しそうに歪んだ。
「甘いぞ!」
すると、切っ先の部分から、何かが迸(ほとばし)る。
「ぐぅっ!?」
闘悟は体に流れた衝撃で呻(うめ)き声を上げた。
「はははははは!」
闘悟は立て膝をついて高笑いするリューイを見つめる。
「どうだ? 何が起こったか理解もできないだろ平民?」
剣は避けたはずだった。
それも紙一重ではなく、十分に距離を取った。
それなのに体に痛みが走った。
闘悟は今起こったことを冷静に分析し始めた。
剣には当たってはいない、それなのに痛みが走った。
体に残っている痺れ。
油断していたとはいえ、視認ができなかった攻撃の速さ。
「……雷か」
闘悟の呟きにリューイが少しだけ目を開く。
「ほう、よく分かったな」
「初めて会った時、お前の体から放電していたからな」
そうだ。
以前リューイは闘悟の言動に怒りを覚え、無意識のうちに身体から魔力を電気に変えて放電させていた。
「なるほど、あの時か」
得心(とくしん)を得たように頷く。
「だがまあ、分かったところで、この天才的な能力の前には成す術は無いがな」
おいおい、コイツどこまでナルシストなんだ?
自分の力に自信を持つのも悪く無えけど、自分で天才とかよく言えるな。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ