第二十九話 クズがしそうなことだな
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何を愉快そうに」
「ん? だって面白えじゃんか」
「面白い?」
「だってよ、この決闘が終わったら、コイツらの顔、きっと面白いぜ?」
闘悟はニカッと笑みをミラニに向ける。
「はぁ……良い趣味をしているな」
ミラニは首を振りながら溜め息を漏らす。
「そんじゃ、行ってくるわ」
闘悟は軽く腕を上げる。
「ト、トーゴ様!」
「ん?」
見るとクィルが真剣な表情を作り、こちらに向けていた。
「あ、あの! お怪我だけはしないで下さいです!」
「……しないよ」
今度はミラニが一歩踏み出してくる。
「ま、私から言えるのはただ一つだ。……殺すなよ?」
「殺さねえよ!」
おいおい、オレは一体お前にどんなふうに見られてんだよ!
こんな大観衆の前で人なんて殺すか!
そもそも、オレはあの貴族に恨みなんて無えし。
「んじゃま、行ってくるわ」
闘悟は二人に背を向けて舞台の上に上がる。
リューイも黄色い声援に応えるかのように、キザッたらしく両手を上げて舞台に上がってくる。
舞台で向き合う闘悟とリューイ。
その間には先生が立つ。
「私がこの決闘の立会人だ。両者とも、正々堂々、全力を尽くして臨むように」
先生の言葉に二人は頷きを返す。
「それでは、互いに少し離れなさい」
二人はある程度距離を取って立ち止まる。
二人の間には、十メートルくらいの距離ができている。
「開始の合図はこのコインが破裂したらだ」
そう言うと、二人のちょうど真ん中くらいにコインを置く。
このコインは、魔力を流すと一定時間が経てば音を鳴らして破裂するようになっている。
コインの大きさで時間は変わるが、今回の百円玉サイズのコインは一分ほどで破裂する。
先生はコインを置くと結界から出た。
「おい、平民」
リューイが話しかけてくる。
「何だ貴族?」
「言っておくが、貴様が僕に対して行ったことは、少々の怪我くらいでは収まりがつかない」
「……」
「本来なら、闘人(とうじん)が大怪我を負いそうになれば、立会人が止める手筈(てはず)になっている」
とうじん? ああ、闘う人か。
つまりオレらのことだな。
「だがな、期待するのは止めた方がいい」
リューイが嫌味を含んだ笑みを投げかけてくる。
「あれは……僕の手の者だ」
リューイは視線だけを立会人に送る。
「まあ、金を掴ませただけだが」
なるほど。あの立会人に金を掴ませて、決闘を有利に運ぼうとしたのか。
つまりは買収したっ
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