第二十九話 クズがしそうなことだな
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二日後、闘悟はクィル達とともに闘武場に来ていた。
先に来ていたのは、あの貴族の方だった。
「ふん、ようやく来たか平民」
取り巻きを従え、偉そうに腕を組み闘悟に睨みをきかせている。
「ああ、来てやったぞ貴族」
「相変わらず身の程を知らない奴だ」
リューイは舌打ちをして、汚物(おぶつ)でも見るような視線を送って来た。
闘悟はそんな視線から目を逸らし周囲を観察した。
闘武場には結界が張られている。
中からの戦闘の被害を周りに及ぼさないようにするためだ。
結界は強い魔力を含んでいるようで、生半可な威力では突き破れないと思われた。
これなら、学生同士の決闘によって起こる被害はなさそうだ。
まあ、あくまでも普通の学生同士ならだ。
闘悟は結界を視認してから、その闘武場の周りを囲っている石壁を見る。
まるで、コロシアムのようだ。
そう思うのは無理は無かった。
周りには観客席が創設されてあり、なかなかの人が集まっていた。
暇なんだな……みんな。
まるでサッカーの試合でも始まるかのような熱気に包まれる観客を見つめて息を吐く。
すると、目の先にカイバ達の姿が見えた。
どうやら彼らも闘悟のことが気になり見に来たみたいだ。
「トーゴ様」
「ああ、分かってるよ」
クィルも彼らに気づいたようだ。
張りつめていた表情が少し緩んでいた。
今、闘悟の近くにいるのはクィルとミラニだ。
先程まで緊張感に当てられていたクィルだったが、見知った顔であるカイバ達を発見したことで、幾分かマシになったみたいだ。
ミラニは普段通り、キリッとした姿勢で闘武場に視線を送っている。
そして、先生らしき人物が闘武場に現れた。
その瞬間、空気が割れんばかりの歓声が響く。
その声の中には、ほとんどがリューイを支援するようなものだった。
というか、ほとんどが女性だったので、カイバが物凄く悔しそうな顔つきをしていた。
他の男性も、カイバと同じような態度をとるか、応援している女性を吟味(ぎんみ)している者で溢(あふ)れていた。
ここにいるほぼ全員が、この決闘の結末を確信している。
結果の見えてる勝負より、女性に視線を送ってる方が実になると考えているのだろう。
事実、結果が見えてる勝負ほど面白くないものは無い。
闘悟だってそうだ。
そんな勝負を真剣に見るよりも、せっかくのイベントで集まった可愛い女の子を探した方が、眼福(がんぷく)になるのは確かだ。
「全く……貴様の勝ちを信じてる者はいないな」
ミラニが周囲の態度に呆れている。
「はは、みたいだな」
闘悟は面白そうに笑う。
「
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