第三十三話 伝言
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ーエングラム公は大規模な景気昂揚政策を実施するそうです」
『ほう、そりゃ大歓迎だ。しかし本当かね』
本当かね、と疑問符を付けているが親っさんの声は弾んでいる。黒姫の頭領の言葉に嘘は無いと思っているんだろう。
「帝国と旧同盟領の経済を活性化させ、一つに結び付ける事で統一をより強固なものにしよう、そう考えているようです」
『なるほどな』
「私もそれに協力する事になっています」
うん、随分とデカい話だな。しかし悪くない、いや有難い話だぜ。
『フェザーンから取り上げた企業を使うんだな』
「まあそうです」
『随分と阿漕に儲けたよな』
親っさんがニヤッと笑うと黒姫の頭領が苦笑を浮かべた。何百社って一流企業が黒姫一家のものになったんだ。阿漕としか言いようがないよな。
「その分政府に協力しないと……」
『そりゃそうだな』
親っさんがとうとう笑い出した。こういう場合、俺やホルツは困るんだ、一緒に笑うのは失礼だろうし……。立場は違うがリスナーも困った様な顔をしている。
「それとローエングラム公は宇宙の統一後はフェザーンへ遷都するそうです」
『遷都? 都を移すのか?』
「ええ」
おいおい、すげえ話だな。親っさんも唸り声を上げてるぜ。
『なるほど、オーディンよりフェザーンの方が立地は良いな。……となると俺もフェザーンに事務所を持った方が良いか』
「そうですね、統一された宇宙の中心になるのですからオーディンよりも遥かに重要性は高いと思います。向こう側に行くのも自由になりますし……」
うん、そうだな、これまで帝国で向こうと取引が出来たのは黒姫の頭領だけだった。でも今度は俺達にもそれが開放されるわけだ。こいつは大きいぜ。
『しかし都が遷るとなるとオーディンは寂れる事になるな』
親っさんが顔を顰めている。うーん、そいつは面白くないな。ウチは縄張りが帝都オーディンに近い事が強みの一つなんだ。そのオーディンが寂れるのは面白くない。
「多少はそういう事は有るでしょう。しかしオーディンは五百年間首都だった事でインフラも整っていれば産業も多く有ります。軍の重要な拠点でもある。それに景気昂揚政策は帝国内でも行われますがオーディンはその中で重要な役割を担う事になっています。余り心配はいらないと思いますよ」
黒姫の頭領の言う通りなら良いんだが……。景気昂揚政策に期待するしかないな。親っさんも今一つ浮かない顔だ。
「それより都がフェザーンに遷るとなればヴァルハラ星系は空き家になりますね」
『空き家か……、なるほど、確かにそうだな』
あれ、親っさんと黒姫の頭領が見つめ合っている。
『良いのかい?』
「ウチは辺境だけで手一杯です。それにヴァルハラはしっかりした人に押さえてもらった方が良いと思います」
『それじゃあ、ウ
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