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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第三十三話 伝言
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度か話した事は有るが結構切れる男だ。近付くと黒姫の頭領が柔らかい笑みを浮かべた。良いのかね、そんな無防備で。

「お待たせしました、ヴァレンシュタインの頭領。ワーグナー一家でオーディンの事務所を預かっております、アルベルト・マイヤーです」
「御丁寧に痛み入ります。エーリッヒ・ヴァレンシュタインです。いきなり押し掛けて申し訳ありません」
黒姫の頭領は丁寧に挨拶を返してきた。この辺りはウチの親っさんとはちょっと違うな。

応接室に案内すると黒姫の頭領はリスナーと共に部屋の中に入った。俺もホルツを同席させる。こういう時は後々言った言わないで揉める事が無いように必ず誰かを同席させる、二人だけで話さないのがルールだ。ワーグナーの親父に対する身の潔白の表明でもある、裏切ってはいないというな。

それにしても良いのかな、俺はワーグナー一家では一応幹部だが序列は九番手から十番手位、決して高い地位じゃない。本当なら黒姫の頭領と直接話すなんて許される立場じゃないんだが……。悩んでいても仕方ないな、飲み物が用意されたら始めるか。

若い所員が飲み物を持ってきた。グラスに氷の入った水が出された。ホッとしたぜ、コーヒーとか出されたら最悪だ。黒姫の頭領はコーヒーは嫌いだからな。まあこの時期なら冷たい水はおかしな出し物じゃない。念のためだ、今後はココアも用意しておくか……。

「今日はどういう御用件でしょうか」
「実はワーグナーの頭領と話がしたいのです」
「はあ」
思わず不得要領な声が出てしまった。話がしたいなら何もここに来なくても良い筈だが……。

黒姫の頭領が軽く笑い声を上げた。俺の困惑が可笑しかったようだ。
「貴方にも聞いていてもらった方が良いと思ったのですよ」
「そういう事ですか、分かりました、今用意します」
つまり俺に対する厚意って事かな、リスナーが同席してるからこれからも宜しくって事か。黒姫一家とパイプが強まるのは俺としても願ったり叶ったりだが……。

『久しいな、黒姫の』
「お久しぶりです、ワーグナーの頭領」
太い声と満面の笑み、相変わらず親っさんは元気一杯だな。そして黒姫の頭領もにこやかに応対している。全然タイプが違うんだが不思議に仲が良い。

『相変わらず派手にやっているようだな、羨ましい限りだぜ』
「恐縮です」
親っさんの言葉に黒姫の頭領が軽く頭を下げた。まあ確かに派手だよな、フェザーンを征服したんだから。

『それで、マイヤーから話が有ると聞いたが』
「はい、今度の遠征の準備で大分物が動いていると聞きましたが」
『ああ、おかげでかなり助かっている。もっとも景気が今一つと言うのは困ったもんだがな』
親っさんが顔を顰めた。黒姫の頭領も頷いている。

「その事ですが戦争が終わり自由惑星同盟を下した後、ロ
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