神と人間と
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歩く。歩く。
少女が歩く。
「あ・・・Aaaaaaaa・・・!!」
「・・・どうして・・・なんで・・・。」
昼食時のサルデーニャ島。普段ならば観光客とその相手をする店員で賑わう美しい島は、今や地獄と化していた。
意味もなく叫び、嘆き。
意味もなく刃物を持ち出し、家族を襲う。
海を泳いでいた子魚たちは、自ら海岸へと身を乗り出し。
海鳥が、建物の壁へと飛び込んで自殺する。
「さぁ、私は自分を取り戻したわよ・・・?出てきなさい。」
その地獄を作り出しているのは、美しい銀の髪を持つ少女。誰も彼もが錯乱し、自分を見失う中で、彼女だけが平常だった。
・・・この状態を、平常と呼べるのなら、だが。
「あぁ・・・!全く煩いわね。」
島中から、狂った様々な生物の叫び声が聞こえている。制御を失った車が炎上し、路上には人や鳥が倒れ、真っ赤な血液を流している。子供が高笑いしながら地面に頭を叩きつけている。
・・・これを地獄と呼ばないならば、一体何を地獄と呼べばいいのだろうか?
そして、この光景を見ても、ただ煩いとしか思わなかったこの少女も、既に以前の彼女では無くなってしまっている。・・・もとに戻った、というべきだろうか?ある意味では、彼女も狂ってしまったのだろう。
『・・・全く、お前の創りだす世界は、いつ来ても醜悪で煩わしい。』
そんな狂気で満ちた世界に、鮮烈な紅が追加された。
顕れただけで、周囲の一切合切を燃やし尽くす業火の化身。炎の女神が、出現した。
燃える。燃える。
全てが燃えて、溶けていく。
「お、おあああああああああああ!?」
「熱い、熱い・・・!」
コンクリートは溶け。
砂地は硝子となり。
家々に備え付けられていた灯油や電化製品が、熱に耐え切れず爆発を繰り返し。
近くに居た運の悪い人間は、笑いながら、或いは泣きながら焼き尽くされていく。
あぁ・・・この地獄は、まだ始まったばかりであった。未だ幕は上がったばかり。これからこの地獄は、更に深度を増していく。
灼熱と混沌。
この二柱が作り上げる。
人間がどれだけ苦しもうと、どれだけ死のうと彼女たちには関係がない。どれだけの動物が狂おうと、彼女たちは見向きもしない。今、目の前にいる宿敵だけが全てで、それ以外は有象無象である。
・・・ならば、この地獄は永遠に続くしかないのか?
否。
地獄は必ず終を迎える。終わらせる者がやってくる。少なくとも、今回の事件に関しては。
「いや〜、予定を早めて早めて、やっとたどり着いたけど。良かったよ。クライマックスには間
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