反転した世界にて4
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が、ベッドの上で戦っている。
いや、よく見ると下にいる方はマウントを取られて圧し掛かられていて、実に苦しそうだ。一目で上下関係がわかる。
これが、俗にいう『可愛がり』か……、ゴクリ。
「これな。最近公開されたアプリゲームなんだけど。世に腐男子を量産した超人気作品なんだよ。登場する乙女たちが秀逸でさ」
「確かに秀逸な感性だね」
「うん。だからさ。腐男子の一意見と割り切って聞いてもらってもいいけど、とにかく。このゲームの登場人物たちみんな、"この世界の男にとって美少女"なんだよ」
「……、……――」
荒井くんの伝えんとするところを理解して、今度こそ僕は文字通り言葉を失った。
絶句、するしかない。
「女性は贅肉が付いていれば付いているほど良い。体型が寸胴に近ければ近いほどいいってのが、一般的な感性だな。顔は、まあ人それぞれではあるだろうけど。基本は、一重で目と目は離れてたりすると高ポイントで。鼻が低いのに憧れたり、鱈子のような口元から覗ける歯茎に胸きゅんとか――」
「や、もういいよ。よくわかったから、勘弁してください」
得意げに"美女の条件"を語る荒井くん。その様子に、冗談を言っているような気配は感じられない。
――思えば、荒井くんは初めから、『ふざけて話す』と前置きしておきながら。
何処までも真面目に真剣に、僕の話を聞いて、理解して、そして答えてくれていた。
――ここに至ってようやく僕は、此処が男女美醜の反転した世界なのだと、遅まきながらに理解するのだった。
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