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男女美醜の反転した世界にて
反転した世界にて4
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「はっ、じゃあ人類のほとんどは真性のブサイク専ってことになるな……。……ん? 人類のほとんど……?」

 自分で呟いた言葉に、何か閃きを感じたのだろう。
 荒井くんは口元を手のひらで覆うようにして、じっと目を瞑って思案しだす。
 次いで、ブツブツと。指の隙間から独り言を漏えいさせていた。

「もしや、もしも、もしかして……。いやまさか……、でも、それなら、むしろそっちのが自然……」
「ちょ、ちょっと。一人で納得してないで、僕にも説明してよ」

 うむうむと、まるで謎を解き終えた名探偵のように腕を組んで、思考の世界から戻ろうとしない荒井くん。
 一体どんな名推理を繰り広げたというのか、解説してもらわないと落ち着いていられない。

「お、おう。あのな、えっとさ。……――あ。あっち。あれ見てみろよ。ほら、あそこでウェイターとお喋りしてる女」
「ん、どれ?」

 荒井くんの指さす方向には、レジカウンターが見えた。

『――、――』
『〜――、……♪』

 その向こう側で、切り分けられる前のチャーシューみたいな肉塊が、ウェイターと楽しげに対話しているのが確認できた。
 異種間交流だろうか。
 
『――……』
『!』

 ……僕の視線に気が付いたのか、肉塊は重々しそうに僕の方へと振り向くと、頬をハムみたいに赤く染めた。
 片目をバチバチとせわしく瞑って、何かをアピールしてくる。威嚇行動だろうか。

「……(ニコ)」

 とりあえず微笑み返しておく。
 こちらに敵意はないということが、うまく伝わってくれるといいんだけど。
 荒井くんの方へと視線を戻す。

「――あの豚の進化系みたいな怪物が、どうかしたの?」
「怪物って……。お前も大概、口悪いよな。どうしたらアレを見て"豚"なんて連想ができるんだよ」
「いやだって。脂肪に包まれている様子というか。肉が重量過多を起こしてアラームが鳴り響いているようなイメージじゃない? アレ」
「……豚って、贅肉あんまりないだろ。あいつら体脂肪率14パーセントとかだからな」

 へぇ〜。
 って、なにその豆知識。
 僕が知りたいのは、そんな明日使えるトリビアじゃなくて、事件の真相なのだけれど。

「話が逸れたな。じゃあ次は……、あ、あそこ、見てみろよ」
「なんなのさ、一体」

 再び、荒井くんの指さす方向へと視線を向ける。
 今度は店内のテーブル席だ。

「わ……、え?」

 ボーイッシュな印象のショートヘアな麗人だ。コーヒーカップを口に運ぶ仕草が、とても大人っぽくて良い。 
 年の頃は、二十台中頃から後半ってとこだろうか。随分とラフな格好で露出が多い。なんていうか、性におおらかそうな雰囲気を全身から醸し出している。僕は我ながらムッツリ
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