反転した世界にて4
[11/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「はっ、じゃあ人類のほとんどは真性のブサイク専ってことになるな……。……ん? 人類のほとんど……?」
自分で呟いた言葉に、何か閃きを感じたのだろう。
荒井くんは口元を手のひらで覆うようにして、じっと目を瞑って思案しだす。
次いで、ブツブツと。指の隙間から独り言を漏えいさせていた。
「もしや、もしも、もしかして……。いやまさか……、でも、それなら、むしろそっちのが自然……」
「ちょ、ちょっと。一人で納得してないで、僕にも説明してよ」
うむうむと、まるで謎を解き終えた名探偵のように腕を組んで、思考の世界から戻ろうとしない荒井くん。
一体どんな名推理を繰り広げたというのか、解説してもらわないと落ち着いていられない。
「お、おう。あのな、えっとさ。……――あ。あっち。あれ見てみろよ。ほら、あそこでウェイターとお喋りしてる女」
「ん、どれ?」
荒井くんの指さす方向には、レジカウンターが見えた。
『――、――』
『〜――、……♪』
その向こう側で、切り分けられる前のチャーシューみたいな肉塊が、ウェイターと楽しげに対話しているのが確認できた。
異種間交流だろうか。
『――……』
『!』
……僕の視線に気が付いたのか、肉塊は重々しそうに僕の方へと振り向くと、頬をハムみたいに赤く染めた。
片目をバチバチとせわしく瞑って、何かをアピールしてくる。威嚇行動だろうか。
「……(ニコ)」
とりあえず微笑み返しておく。
こちらに敵意はないということが、うまく伝わってくれるといいんだけど。
荒井くんの方へと視線を戻す。
「――あの豚の進化系みたいな怪物が、どうかしたの?」
「怪物って……。お前も大概、口悪いよな。どうしたらアレを見て"豚"なんて連想ができるんだよ」
「いやだって。脂肪に包まれている様子というか。肉が重量過多を起こしてアラームが鳴り響いているようなイメージじゃない? アレ」
「……豚って、贅肉あんまりないだろ。あいつら体脂肪率14パーセントとかだからな」
へぇ〜。
って、なにその豆知識。
僕が知りたいのは、そんな明日使えるトリビアじゃなくて、事件の真相なのだけれど。
「話が逸れたな。じゃあ次は……、あ、あそこ、見てみろよ」
「なんなのさ、一体」
再び、荒井くんの指さす方向へと視線を向ける。
今度は店内のテーブル席だ。
「わ……、え?」
ボーイッシュな印象のショートヘアな麗人だ。コーヒーカップを口に運ぶ仕草が、とても大人っぽくて良い。
年の頃は、二十台中頃から後半ってとこだろうか。随分とラフな格好で露出が多い。なんていうか、性におおらかそうな雰囲気を全身から醸し出している。僕は我ながらムッツリ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ