反転した世界にて4
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意や敵意を感じているわけではないのだし。どうせなのだから気楽に行こうと思う。どうせ、ぼっちをこじらせすぎて空気なんか読めやしないのだから。裏読みしすぎたってロクなことにはならない。
自己完結完了。
けどわからないことはまだある。精神的な方ではなくて、こっちは物理的、現実的な問題で、
――担任と体育教師が女の人に代わっていた理由は?
"面識のないクラスメイト"たちと相まって、大きな謎のひとつだ。元の――男性教師の方は、一体どこへ消えてしまったのか?
こればかりは、気持ちの問題として片づけることは出来ない。
だって、昨日までは担任は男性教師だったのだから。
木村先生。下の名前は覚えてない。32歳。担当教科は国語。でも、本当は音楽の教師になりたかったらしい。半年前、自己紹介の時にそう言っていた。
親しかったわけではない。教師と生徒の熱い絆を感じるようなイベントは全くなかったけれど、でも、木村先生が担任だった記憶が、僕にはあるのだ。彼は一体、どこへ消えてしまったのか?
「……病院は、いやだなぁ」
ボソリと、ため息とともに、誰にも聞こえないように呟く。
『異常を自覚している者は、異常者ではない』なんて言葉を聞いたことがある。この言葉を信じるならば、"自身の異常"を自覚していない――認めることのできない僕は、完璧に精神異常者だってわけだ。
昔、似たような状況に陥った男が主人公のエロゲをやったことがある。――と少し考えて、あちらは僕なんかとは比べ物にならないくらい狂気の世界に落とされていたっけ。
久々にやりたいな。今なら『自分の知っている世界が、突然めちゃくちゃになってしまう』気持ちが、これでもかというくらい理解できるかもしれない。
……ごめんなさい。嘘です。僕には"友情や愛情が汚されていく絶望"なんて、理解は出来ても真の意味で共感はできません。元々ぼっちだし。
家に帰ったら、起動してみるか。
「ん……」
――と、随分と長いこと考え込んでしまっていたみたいだ。
グラウンドの方から、部活動の掛け声が聴こえる。甲高い声だ。
帰ろう、と荷物をまとめて席から立つ。
と、開きっぱなしになっている教室の前で、こちらに向かって手を振っているツインテールの男子を見つけた。
……そういえば、クラスメイトの男子たちも、荒井くんほどではないけれど"女性的な髪型"のヤツが数人いたな。逆に、女子はショートヘアと呼ばれるような、短めにしている子たちが多かったように思う。
価値観が変わってしまっているのだから、それ自体は不思議でもなんでもないことなのだけど。僕個人としては、女性は黒髪のロングが好み。男はどうでもいいや。
「や、ごめんごめん、待たせちゃって」
なんてことを考え
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