反転した世界にて3
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な」
視線を逸らしているように見えて、横目でちらちらとばっちり僕の全身を眺めてる。
――っていうか、このビューティーな女教師は一体どこの誰ですか?
体育担当の先生は、男の人だったはず。ハンドボール部の顧問で、ヒゲがもっじゃもじゃなのが特徴。
県大会に出れなかったらヒゲを剃ると毎年宣言するんだけど、うちの高校はハンドボール強いのでもう十年以上剃っていないらしい。どうでもいい。
担任もいつの間にか変わっていたし……。
「い、いや、忘れ物は誰にでもあるわね。うん、しょうがないから、今日は見学していなさい」
「はぁ」
ブラを忘れたから=見学。こんな方程式、僕の常識にはない。
色々と釈然としないものと感じながら、僕はグラウンドの端っこに体育座りでしゃがみこんで、見学の任を全うすることにする。
「……」
男子も女子も、種目はサッカーをやっていた。
どのみち、僕は運動神経が生まれつき欠如している方なので、見学自体は大歓迎だ。合法的にサボることができるからね。
「ん?」
それにしても、今日の男子はなんだかやる気がなさそうだ。いつも球技となるとやたらに張り切る奴らが出てくるものなんだけれど。
で、そいつのせいで僕みたいな運動音痴まで体育会系のノリを強要させらて辟易とするんだけど。
「いけー、抜けーっ!」
「そいつを止めろーっ!!」
――対して、女子の盛り上がりはすごい。
如何にも運動の出来なさそうな肉だるまが坂道を転がるようにしてドリブルしながら、並み居る女子たちをごぼう抜きにしていく様は、まさに圧巻だ。
あ。肉だるまがボールを取られた。ボールを取ったのは……、おぉ、ポニーテールの美少女じゃないか。
華麗にドリブルしながら、ポニーテールを揺らして見る見る敵のエリアに食い込んでいく。
ぽよんぽよんと、ボールと地面を蹴るたびに上半身の二つのボールまで豪快に揺れまくっている。なんという壮観だ。
「あ?」
しかしそれにしても揺れすぎじゃないか? なんかリミッター振り切ってるというか、抑えるべきものが解き放たれているというか。
あの揺れ方は……正気じゃねえっ!!
おっ、ゴール決めた。
「やったーっ!」
「まさか白上に抜かれるなんて……」
「あ、あ、赤沢さん、こっち見てない……?」
「嘘マジで。ホントだ、手を振っちゃおう!」
「やめなよ恥ずかしい……」
あっ。美少女手を振ってる。大降りに手を振っているので、身体まで揺らしてる。
僕も手を振り返した方がいいだろうか。でも僕に対してじゃなかったら、アホみたいというか、ただのアホだしなぁ。
――と、目を逸らさずに女子の方を見ていると、あり得ない事実に気が付いた。
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