反転した世界にて3
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スの男子に囲まれるようにしながら廊下に飛び出す僕。
そのまま適当に走り去ろうとするが、しかし、男子の一人が僕の手を掴んでいてそれは出来なかった。
「Tシャツ姿でどこ行こうとしてんだよ」
「ほら、こっちだこっち」
◇
連行された先は、男子更衣室だった。
僕の記憶が正しければここは女子更衣室だったはずなのだけれど。しかし表札には、ご丁寧に、『男子更衣室』って書かれている。
いつの間に、こんなの出来たんだろう?
そしていつの間に、男子と女子の着替える場所が入れ替わったのだろう? 少なくとも、昨日の時点ではそのような変更聞いたことがない。
――……考えられるとすれば、実は昨日のうちに連絡網とかが回っていて、僕にだけその連絡が回ってこなかった、とか……?
かなり無理がある気がするけれど。ひとまずそれで納得しておく。重要なのはただ一つ、僕が悪いのかそうでないのかだ。
僕は悪くない。だから女子の下着をばっちり肉眼で捉えちゃったのも、無知が故の不可抗力で――、
「……おい、このあんぽんたん」
「荒井くん」
「聞いたぞ、教室で、しかも女子共の目の前で着替えようとするなんて。お前、なに考えてるわけ?」
「な、なに考えてるってこともないけど」
すげえ馬鹿を見るような目で、僕に文句を言ってくる荒井くん。僕は適当に流して着替えをはじめながら、言い訳を考えていた。
大体、考えるも何も、更衣室が変わっていたなんて事実を知らなかったのだから、言い訳もなにもない気がするのだけど。
と、口を開こうと荒井くんの方を見ると、――荒井くんの顔が驚愕に染まっていた。まるでムンクの叫びだ。
「し、しかも、拓郎、お前……」
「今度はなにさ」
自分の身体を見下ろす。無駄な贅肉どころか、必要な筋肉すら欠如しているように思われるガリガリの上半身がそこにあった。
鍛えた方がいいかもしれない。
「お前、ノーブラじゃないか!」
「お前は何を言っているんだ」
スパコーン! と、脳天にいい角度でチョップをかまされた。
「なにをいきなり!」
「お前、このレジェンド馬鹿! ノーブラとか、それこそ何考えてんだよ!」
「なんでノーブラだからって叩かれなきゃいけないんだ!?」
はっ!
いじめか。これがいじめなのか。男の僕にブラジャーの装着を強要するなんて。着けていないから脳天チョップだなんて!
意味不明な精神攻撃と言わざるを得ない。けれど、そのダメージは中々のものだ。
それも校内で唯一僕と会話をしてくれる荒井くんが先兵だなんて……。僕に絶望感を与えるには十分すぎる。
「こ、このペースで、自殺まで追い込む気だな……。負けないぞぅ……」
「何をブツブツと……、そ
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