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東方守勢録
第十三話
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で表情ひとつ変えることなく話を聞いていた。


「ふむ……なるほどな」

「はい。ですので、あまりたいしたことはできていません」

「それはどうでもいい。早苗が帰ってきただけで十分だ」

「そっちのほうが辛かったろうに。まだ若いのにたいした少年だよ」

「そんなことないですよ」


そう言って俊司は笑みを返す。

それ以降、一同はたわいない話をして、短い時間をすごした。










数十分後


日も暮れ始め、俊司と文はそろそろ帰ろうとしていた。早苗は守矢神社に残ることにしたみたいで、おおむねそのことを伝えたあと、二人に何度もお礼を言っていた。


「では、そろそろ失礼します」

「最後に少年、名を申せ」

「あ、はい。里中俊司です」

「そうか……覚えておこう」


神奈子はそう言って、不自然ながらも笑みを返していた。

俊司はそんな彼女に一礼すると、携帯を使って連絡をとる。すると、10秒も経たない合間にスキマが展開された。

二人は見送ってくれる4人に別れを告げながら、スキマの中に入っていった。
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