第十三話
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。俊司がもう片方の手で彼女の涙をスッとふき取ると、悲しそうな笑みを浮かべていた。
「やっぱ……ばれますよね」
「……うん」
「……死んでほしくないです。もちろん……復讐もしてもらいたくありません。でも……もう決めたんですよね?」
「……うん」
「……」
妖夢は黙り込んでしまった。自分の気持ちを伝えても、彼の決心をかえることはできない。過去に見てきた惨劇が、彼女を不安にさせていった。
「……」
妖夢の思いは俊司の心に深く届いていた。
自分の意見を押し殺してまでも、相手の意見を尊重してくれる。いまいち踏み切れていなかった俊司にとって、支えになるものだった。
だからこそ、彼女の思いを踏みにじるようなことはしたくなかった。
「そうか……そうだよな」
「えっ……きゃっ!?」
俊司はつかまれていた手を思いっきり引っ張るり、妖夢をスッと抱き寄せた。
「ふえっ!? しゅっ俊司さん!?」
「大丈夫……死ぬなんて考えてないから」
「え……」
「それに、生きなきゃいけない理由もできたし」
「理由……ですか?」
「ああ」
不思議そうな顔をする妖夢に、俊司は笑みを返しながら頭をなでた。
「だから……心配すんな」
「……本当……ですか?」
「ああ」
「……わかりました。絶対ですよ」
妖夢は安心したのか、そのまま俊司に体を預けていた。
その後、二人は永遠亭に帰るのであったが、後々考えて恥ずかしくなったのか、二人とも顔を真っ赤にしたまま何もしゃべることはなかった。
その日の午後
俊司たちは中庭に集合していた。早苗の頼みで守矢神社に帰りたいとのことだった。
もちろん、誰も引きとめようとはしなかった。ただ、事情の説明ということもあって、文と俊司が一時的に同行することになった。
「では、お願いします」
「ええ。帰りは携帯で連絡を」
「ああ」
紫が目の前にスキマを展開させると、一同は中に入っていった。
守矢神社
「さて……あれから何日か経ったわけだけど……」
「誰もこないね〜」
二人の神様はいまだ来ない情報を待ちわびていた。
「神奈子様・諏訪子様……もう少し待ってみませんか?」
「まあ……待つには待つけどね」
「天狗、お前はあの天狗が必ず情報をつかんでくると信じてるのか?」
神奈子は二人をなだめようとする烏天狗に向けてそういった。
烏天狗は少し表情を引きつらせたが、
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