第178話
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ぶ濡れなんだけど。
せめて、顔や服についている泥を拭いたい。」
「そっ、それならですね。
わ、わたっ、私おしぼり持ってますから」
五和が言い終わる前に、上条の頭にバサッとタオルが被せられる。
びっくりして上条が振り返ると、大きな犬と一緒に河原を散歩していた白人のおじいさんが振り向きもしないで、『返さなくて良いよ』とでも言いたげに面倒臭そうに片手を振っている。
頭に乗っかったタオルを手で取りながら。
「はぁ、親切な人っているんだなぁ。」
滅多触れる事のない、人の優しさに感動している上条に鞄から出したおしぼりが宙を彷徨う。
しかし、五和の本番はこれからだ。
同じく濡れているであろう麻生におしぼりを渡そうと視線を向けて、気づいた。
麻生の服や髪が全く濡れていない。
それどころか泥すらついていない。
「あ、麻生さん、服が・・・・」
怪訝そうに尋ねる五和を見て、麻生は答える。
「濡れた服が張り付いて気持ち悪いからな。
勿体ないが能力を使用して乾かした。
泥もその時に掃ったよ。
うん?
どうした、五和?」
「い、いえ、なんでもないです。」
肩を落としながら手に持っているおしぼりを鞄に戻す。
「そろそろ向かうか。
五和、道案内を頼む。」
「ま、任せて下さい!」
意気消沈した五和だったが、麻生に頼られすぐに元気を取り戻し、街に向かって三人は足を運ぶ。
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