第178話
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。
私はアビニョンを担当していて。」
五和の話を聞きながら、ここがアビニョンであること。
そして、敵地である事を上条は確認した。
敵地、というのを意識すると少しだけ神経が鋭くなるのを感じる。
説明を続けていた五和だが、ハッと何かを思い出した。
「あ、あの、話を続ける前に荷物を取ってきても良いですか?」
「荷物?」
「橋の上に置いてきちゃったままなので。
い、一応、盗られる心配もありますので。」
橋、というのは近くにある、半分ぐらいで崩れてしまっているアーチ状の石橋の事だろう。
どうやら五和はあそこから川に飛び込んできたようだ。
そこでようやくある事に気づいた上条は視線を逸らしながら言う。
「その荷物にさ、五和の着替えって入っているのか?」
「え?
ま、まぁ、天草式は隠密行動に特化した宗派ですから。」
いきなりの質問にややキョトンとしながらも、そう説明する五和の表情はどこか誇らしげだ。
「洗剤用の荷物のほとんどはホテルに置いていますけど、尾行や逃走の為に、手荷物の中にもそういったものを一式用意しています。
今の所、使う機会はありませんけどね。」
「そっか、それは良かった。」
まだキョトンとした顔を浮かべている五和は、上条の言葉の真意に気づいていない。
助けを求めるように上条は麻生に目を向けるが、彼も気づいているのか完全に背を向けて川を眺めている。
コイツ、丸投げしやがったな、と悪態を吐きながら、視線を外しつつ指で指し示す。
その指の先を辿っていくと、自分の胸元を指しているのが分かる。
川の水で濡れたため、色々と透けた挙げ句に布地が張り付いて全体のシルエットまで浮かび上がってしまっている、ピンク色のタンクトップを。
自分の状態に気づいた五和は顔を真っ赤にしながら、腕を交差して胸元を隠す。
「す、すぐに着替えていきます!!」
目を伏せながら、全力で石橋の方へ走って行く。
思い人である麻生にも見られたことが相当恥ずかしかったようだ。
実の所、上条はちょっと、いやかなり恐れていた。
インデックスや美琴のように噛み付いたり、電撃の槍を飛ばしてくるというエキセントリックな体験をしている上条は、もしかしたら五和も、と懸念していた。
しかし、五和はかなり良心的な人格の様で胸を撫で下ろす。
と、上条もある事を思い出したのか、麻生の方まで駆け寄り胸ぐらを掴んだ。
「テメェ、後ろから蹴りやがって死ぬかと思ったぞ!!」
かなり根に持っているらしく今にも殴りかかりそうな剣幕で言う。
そんな上条を見て、鬱陶しいそうな顔をしながら答える。
「あのまま強硬手段に出なかったら、フランスを通り越していたかもしれないだろ。
親船が用意した飛行機だ。
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