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八条学園怪異譚
第二十六話 植物園その四
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「それでも二人共そんな感じだよ」
「私がお母さんで聖花ちゃんがお姉さんなのね」
「そう、そんな感じだから」
「それなら嬉しいけれど」
 愛実は送り犬のその言葉に頷く、そして。
 ここで話題を変えた、愛実は聖花に顔を向けてこう言ったのである。
「それで次の場所だけれど」
「植物園ね」
「そう、そこだけれど」
「植物園の怪談っていうと」
 聖花は愛実に応えて言う。
「一番広い庭園で、よね」
「そう、十二時になるとね」
 怪談の定番の時間になっている。
「そこで色々な国の色々な季節の花が咲き誇るらしいのよ」
「綺麗な怪談よね」
 怪談にしては珍しいと言えるものだった。
「それって」
「そうよね。怪談ってやっぱりどうしても怖い感じになるから」
 だから怪談だ、人はそうしたものも興味というものから求めそしてそれを見て聞いて楽しむものなのであるのだ。
 それでこの学園のものもなのだ。
「一見すると怖いのよね」
「どれもね。それでもね」
「そう、実際は優しいっていうか」
「ほのぼのしてるわよね」
 二人で怪談のその内容のことを話す。
「猫又さんにしても送り犬さんにしても」
「他の人達もね」
「大体日本の妖怪はそうだよ」
 送り犬が二人にこう話す。
「ほのぼのしてるよ」
「日本の風土とか国民性のせいだろうね」
 猫又は己の考えを話した。
「おいら達もそんなに凶悪じゃないんだよ」
「そうした妖怪もいるけれど少ないよ」
「特にこの学園は結界があるからそうした奴は入られないしね」
「そうよね、平和な妖怪さんが多いわよね」
「幽霊さんは人によるけれど」
「僕達より幽霊の方が怖いよ、日本の場合は」
 送り犬は二人にここでは真剣なコアで述べた。
「実際にね」
「ああ、色々な怪談で出てるわよね」
「耳なし芳一にしてもそうだし」
「他にも怖い怪談多いし」
「そういうの見ていたら」
「そう、人間の心って怖いよ」
 妖怪もだが心こそが最もだというのだ。
「綺麗なもの、穏やかなものもあるけれど」
「醜いもの、怖いものもなのね」
「あるよ。もう知ってると思うけれど」
「そもそも怨霊だって人間だし」
 愛実は腕を組み考えて述べた。
「人間だからなのね」
「そうだよ、怨霊にもなるんだよ」
「一番怖いのは怨霊なのね」
 真剣な顔で言う愛実だった。
「そういうことなのね」
「怨霊がいるって言われてる場所には絶対に近付くんじゃないよ」
 猫又もこのことは真面目に注意する。
「取り憑かれて殺されるぜ」
「本当にそうなるのね」
「なるよ、それで大変なことになったのを何度も見てきてるから言えるんだよ」 
 猫又は聖花にも話す。
「怨霊が一番怖いんだよ、悪い妖怪よりもまだ性質が悪くてさ」

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