第二十六話 植物園その二
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「もうね、あれはゴキブリと同じだけお店にとって害だから」
「衛生的に最悪じゃない」
「だから蚤、絶対に駄目だから」
「注意してね」
「おいおい、おいら毎日風呂に入ってるぜ」
「僕もだよ」
二匹は二人の言葉にややむっとした顔で返す。二人の足元にいてそのうえで言ったのである。
「蚤なんていないよ」
「凄く清潔だよ」
「ふうん、毎日なの」
「お風呂入ってるの」
「そうだよ、猫又ってのは綺麗好きなんだよ」
「送り犬もね」
そうだというのだ。
「妖怪温泉に毎日入ってるよ」
「皆と一緒にね」
「妖怪温泉!?そんなのもあるの」
愛実はに引きの今の話に目を少ししばたかせて応じた。
「また凄いのあるわね」
「凄いっていうか学園のすぐ傍にある八条温泉だよ」
これも八条グループの経営している企業である。全国に展開しているスーパー銭湯でそれが学園の近くにあるのだ。
「そこに毎日通ってるんだよ」
「お金も払ってね」
「どういう縁で出入りしてるの?」
聖花は愛実と同じバニラ、コーンの上に丸く置かれカラフルなチョコレートをトッピングしたそれを食べながら尋ねた。
「あのスーパー銭湯に」
「あそこの店長さんと博士が知り合いでね」
「その懇意でなんだ」
「そこで営業時間後に使用後掃除するってことで使わせてもらってるんだ」
「そうなんだよ」
「ふうん、そうなの」
聖花もここまで聞いて納得した。
「それでなのね」
「そう、お金も払ってるよ」
「全部ちゃんとしてるよ」
「だといいけれどね」
「そうね」
聖花に続いて愛実も頷いた。
「とにかく清潔第一」
「特に今の季節はね」
遂に夏休みに入った、この暑い季節にはとりわけというのだ。
「何かとあるから」
「気をつけないとね」
「二人共本当に綺麗好きだよね」
「ちょっと手を抜いたらゴキブリ出るじゃない」
「他に黴とか」
食べ物を扱う店の天敵がだというのだ。
「だからなの、お掃除は手を抜けないの」
「特に愛実ちゃんが厳しいのよ、そういうの」
聖花はここで愛実を見る。
「子供の頃からね」
「お父さんとお母さんに言われてきたからね」
愛実は聖花の言葉にこう返した。
「それでなのよ」
「愛実ちゃんのお父さんとお母さんも綺麗好きだしね」
「だから。本当に綺麗にしないと」
愛実も言うのだった、掃除のことについて。
「出るからね、出たら終わりだし見るのも嫌だから」
「昔は結構平気だったけれどね」
「そうだよな」
送り犬は愛実の話を聞いてそれで猫又に話を振る、猫又も送り犬のその言葉に応えて頷いて返しそれからまた言う。
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