TURN66 過労その十一
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「ジンギスカンでも玉葱があるでごわす」
「あっ、玉葱いいね」
「それにキーウイは栄養の塊でごわす」
彼の相棒ニュージーランドのものだがオーストラリアでもよく食べるのだ。
「だからこれでいいでごわす」
「じゃあそれでいいね」
「後今日は御飯でごわす」
「パンじゃないんだ」
「日本の炊いた御飯が美味かったので」
同じ太平洋国家として日本にご馳走になったことがあるのだ。
「それでおいどんも炊いてみたでごわす」
「そうしたんだね。じゃあ」
「三人で食べるでごわす」
オーストラリアは満面の笑顔で総督と長老にまた言った。
「それも腹一杯でごわす」
「そうさせてもらおうかのう」
長老も応える。彼等は今は平和だった。
だがドクツは違った。ベートーベンはカフカスに向かう途中で微妙な顔になりこうブルガリアに漏らしていた。
「順調に進んでいるが」
「それでもですか」
「物資の到着が遅れている」
言うのは補給のことだった。
「昨日届く予定が今日だったな」
「一日のタイムラグですね」
「おかしい。これまでなら予定通りに届いていた」
レーティアは補給についても万全であるからだ。
「しかしそれがだ」
「一日の遅れですね」
「予定より二十四時間だ」
丁度一日の遅れである。
「書類に不備があったのかそれとも後方で何かあったのか」
「総統が間違えられる筈がありませんしね」
「それはない」
ベートーベンは断言した。
「あの方に限ってな」
「はい、そうですね」
「あの方に間違いはない」
レーティア=アドルフにはだというのだ。
「断じてな」
「ですね。ではどうして」
「我々の申請の書類の不備か」
ベートーベンはそこに原因を求めた。
「一日遅れで書いてしまったか」
「ですか、やはり」
「今の状況では一日遅れてもどうということはないが」
「そこまで情勢は緊迫ではないです」
「だから大した話ではないがな」
「これまでは完璧でしたから」
補給についてもだ。
「それが気になりますね」
「実にな。だが今はだ」
「はい、カフカスですね」
「カフカス、そしてカザフを陥落させる」
南方方面軍、五個艦隊で編成される軍集団の戦略はそうなっている。
「もうすればソビエトの資源のかなりを手に入れる」
「それだけ我々も強大になるが故に」
「是非カザフまで入ろう」
「ドクツの為に」
ブルガリアも今はレーティアに心酔していた。彼女のカリスマはドイツ達だけに及ぶものではなかった。彼も他の国家も彼女に心酔する様になっていた。
それでドクツの敬礼でこう言うのだった。
「ジークハイル」
「うむ、ジークハイル」
こう言い合う。ドクツは今はまだ順調に進めていた、だがレーティアが密かに過労で
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