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ヘタリア大帝国
TURN66 過労その十

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「いや、全く」
「うん。けれど興味はあるね」
 総督は学者としてこの感情を隠さない。
「是非一度見てみたいけれど」
「じゃがサラマンダーは北欧じゃ」
 長老はこうその総督に話す。
「北欧の氷の奥底に眠っておる」
「じゃあ出ることは」
「ない」
 そうだというのだ。
「決してのう」
「そうなんだね」
「サラマンダーは炎」 
 長老はまた言った。
「そして吹雪の大怪獣もおる」
「正反対でごわすな」
「これをニガヨモギという」
 それがその大怪獣の名前だというのだ。
「あらふるものを凍らせそして滅ぼす存在じゃ」
「ニガヨモギ」
「名前はそれじゃ」
 こう総督にまた話した。
「この大怪獣も恐ろしい力を持っておるそうじゃ」
「何でも凍らせるでごわすな」
「そうじゃ」
 まさにそうだとだ。長老はオーストラリアに答える。
「大怪獣とはいっても性格は色々でじゃ」
「ニガヨモギはどうした性格ですか?」
 長老にニガヨモギにその性格を尋ねた。
「富嶽やエアザウナみたいに激しいんでしょうか」
「うむ、目の前にある全てのものを凍らせるからのう」
 それでだというのだ。
「気性は激しいのう」
「やっぱりそうですか」
「総督、お気をつけられよ」
 不意に長老はこうも言ってきた。
「宇宙怪獣はそもそもが恐ろしいものじゃ」
「そして大怪獣も」
「うむ、トルカは操っておるがのう」
 長老はトルカのことも話した。
「他の獣はそうとはいかん」
「そうですか」
「学ばれるのもよいが程々にされよ」
 つまり節度を保てというんじょだ。
「そうされよ」94
「わかってますけれど」
「無茶はされるな」
 長老はまた総督に告げた。
「そういうことじゃ」
「命を落とさない様に」
 こう二人で話す。そして。
 話が一段落したところでオーストラリアは明るい笑顔で総督だけでなく長老にもこう言ったのである。
「じゃあでごわす」
「うん、お昼だね」
「飯じゃな」
「おいどんがジンギスカン鍋を作るでごわす」
 ここでも羊だった。
「日本に教えてもらった料理でごわすよ」
「ふむ。ジンギスカン鍋のう」
 長老にとってはじめて聞く料理だった。それで興味を感じてこう言うのだった。
「ではじゃ」
「食べるでごわすな」
「好意に甘えてよいか」
「遠慮は嫌いでごわす」
 オーストラリアらしく笑顔で答える。
「腹一杯食うでごわすよ」
「ではじゃ」
 長老は自分の祖国の言葉に頷いた。これで決まった。
 だがここで総督はオーストラリアにこんなことを言った。
「お肉はいいけれど」
「羊は?」
「うん、お野菜も食べないとね」
「キーウイのサラダがあるでごわすよ」
 野菜はサラダだった。
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