TURN66 過労その七
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「新設する港のことで」
「わかったわ。じゃあ早速サインをするわ」
「お願いします」
「これもお願いします」
別の官僚が新たなファイルを出してきた。
「ベルリン大学法学部の教授任命です」
「それもなのね」
「はい、サインを」
「これもです」
また一人出て来た。今度は福祉のことだった。
グレシアは忽ちのうちに書類に山に囲まれた。そしてレーティアがまさにドクツの全てを支えていることを知ったのである。
レーティアが過労で倒れたことはグレシア以外は知らずひた隠しにされていた。それでカテーリンも苦い顔でこうミーシャとロシア達に言っていた。
「悪い奴だけれど凄いよね」
「だよね。万能の天才っていうのは伊達じゃないよね」
ミーシャもこうカテーリンに応える。
「あの人がいる限りドクツは絶対っていうけれどね」
「いい娘だったらよかったのに」
カテーリンは子供っぽい口調でこうも言った。
「共有主義を信じてくれていたら」
「あっ、そのことだけれどね」
「共有主義のこと?」
「ドクツ軍の人達を捕まえたら共有主義を教えるのよね」
「うん、そのつもりだけれど」
「じゃあレーティア=アドルフも捕まえたらそうするの?」
共有主義への洗脳を施すかどうかというのだ。
「そうする?やっぱり」
「勿論よ。悪い娘は教え込まないと」
カテーリンの表情が変わった。きっぱりとしたものになった。
「悪い娘のままだから」
「そうね。それでカテーリンちゃんのお友達になるのね」
「皆お友達にならないと駄目なの」
カテーリンはミーシャに語りながら目の前に貼られている人類統合組織ソビエトのポスターを見た。皆笑顔で手をつないでいる写真である。
そのポスターを見てこう言うのである。
「皆喧嘩したら駄目なの」
「そして平等でないとね」
「だから貴族も貧富の差も駄目だし」
両方共カテーリンが心から嫌っているものだ。
「仲良くしないと」
「だからレーティア=アドルフとも」
「そう。私ずっとお友達ってミーシャちゃんと祖国君しかいなかったわよね」
「うん、そうだったね」
「寂しかったから」
過去を思い出す。するとそれだけで悲しい顔になる。
「お友達もっともっと欲しいからね」
「今カテーリンちゃんのお友達っていったら」
「僕もだよ」
この場では沈黙していたロシアも口を開いてきた。
「僕カテーリンさんの友達だからね」
「うん。祖国君はずっと私の友達だよね」
「僕は国民の皆と友達だよ」
優しい微笑を浮かべてこうカテーリンに話す。
「だからカテーリンさんともね」
「皆友達にならないと駄目なの」
とにかくカテーリンにとってこの考えは絶対のことだった。
「喧嘩したらよくないから」
「そうだね。じゃあカテー
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