第十七章
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彼も鴻上を見ながらだ。こう言うのだった。
「そうだね。僕の予測したところだと鼓舞と」
「俺達へのだな」
「そう。そして先導だね」
それもあるというのだ。
「わかりやすく。その時に目の前にいる人に進むべき道を教えているんだ」
「ならケーキは」
「糖分はすぐにエネルギーの補給になるから」
今度はこれだった。
「それだと思うよ」
「成程な。全て理由があるんだな」
「全てわかってやっているのは間違いないね」
二人もこのことがわかったのだった。二人の話は鴻上本人も聞いている。しかしだ。
彼自身はあえて何も言わず思わせぶりな笑みを浮かべているだけだった。そしてだ。
その笑みを普段の大袈裟な感じの笑みにしてだ。また一同に言ったのだった。
「では。埼玉アリーナでの決戦の前にだ」
「いつものですね」
「そうだ。ケーキを用意した」
今回もだった。それをだというのだ。こうエリカに答えたのである。
そして何時の間にかだ。一同の後ろにだ。幾つものデコレーションケーキが出て来ていた。そのケーキ達を見ながらだ。鴻上は赤ワインが並々と入ったグラスを右手に持ち言った。
「では君達のハッピーバースデーだ」
「今度は何のハッピーバースデーなんやろ」
「決戦に向かい一つの戦いに区切りをつけ」
首を傾げさせた亜樹子にだ。鴻上は話す。
「そしてだ。火野君がまたパートナーと会うハッピーバースデーなのだ」
「そやからなんや」
「そうだ。では諸君、ケーキにお茶を楽しんでくれ」
バイクに乗る面々も多いからだ。流石に今ワインは勧めなかった。
「そうしてそのうえでだ」
「これ全部食べていいんですよね」
「勿論だ。好きなだけ食べてくれ」
鴻上はまた亜樹子に話す。
「そして決戦向かってくれ」
「わかりました。それじゃあ」
「有り難く頂きます」
火野に比奈が応えてだ。二人に続いてだ。
皆そのケーキを食べていく。どのケーキも実に美味だった。
そしてそのケーキを全て食べ終えてからだ。ライダー達はその決戦の場である埼玉アリーナに向かうのだった。埼玉アリーナの前に着くとだ。そこは。
何の気配もなかった。しかしだった。その無気味なまでの沈黙を前にしてだ。
伊達がだ。アリーナの階段、入り口に向かう白いそれを見ながらだ。口元に笑みを浮かべて言った。
「嵐の前の何とやらかな」
「そうですね。ここにはいないですけれど」
「今にもわんさと出て来てもおかしくないな」
まさにそうだとだ。伊達は後藤にも話した。
「そんな感じだよな」
「敵がいるのは間違いないですね」
彼等から見て左手にあるそのドームのアリーナ、白い戦いの場を見ながらだ。後藤も言う。
「エターナルも。他のドーパメントやグリード達も」
「そうだよな
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